2度にわたる世界大戦の反省を踏まえ、1945年に発足した国連が24日、70年を迎えた。創設当時51カ国だった加盟国は、現在では193カ国に拡大している。

 国連憲章は高らかに宣言する。「われら連合国の人民は、われらの一生のうちに2度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救うため」に、「国際機構を設ける」と。

 だが、現実はどうだろうか。シリア内戦、止まらぬ欧州への難民流出、出口の見えない中東情勢、アフリカ各地の紛争・内戦など世界が直面している現実は「国際平和と安全の維持」(国連憲章第1条)の実現から程遠い。

 最大のネックとなっているのは国連の最高意思決定機関である安全保障理事会の常任理事国の拒否権が国連を機能不全にしていることだ。

 シリア問題ではアサド政権を支持するロシアと、退陣を求める欧米が対立した。対シリア決議案はロシアと中国が拒否権を行使し、4回とも採択されなかった。その間も内戦は泥沼化し、多くの難民の命が失われた。

 第2次世界大戦の戦勝五大国である米国、英国、フランス、中国、ロシアが常任理事国で、1国でも拒否権を行使すれば国連は何もできない。安保理改革は急務である。

 安保理は65年に非常任理事国の枠を6カ国から10カ国に広げて以来、手つかずのままである。

 常任理事国のフランスは大規模な残虐行為には拒否権を使えないようにすることを訴えたが、他の常任理事国は既得権益を手放さない。だが、理解を示す加盟国も多い。連携を強めてもらいたい。

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 日本も動いている。ドイツ、インド、ブラジルとともに、4カ国グループ(G4)をつくり、常任理事国を11カ国に、非常任理事国を14~15カ国に増やす改革案を提案している。この案は過去に頓挫した経緯があるが、アフリカ枠を増やすことで支持を取り付けたい考えだ。

 国連が取り組まなければならないのは安全保障だけではない。アフリカの飢餓、地球温暖化、貧困、感染症など国家の枠を超えたグローバルな問題も喫緊の課題だ。

 平和学の父、ヨハン・ガルトゥング氏(ノルウェー)によると、「積極的平和」とは、戦争のない状態(消極的平和)ではなく、貧困や抑圧、差別などの「構造的暴力」がない状態をいう。この定義に従えば、世界が積極的平和に至るまでにはまだまだ長い道のりが待っている。

 国連の70年は高い理想と厳しい現実の間であえいでいる姿であるといえよう。

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 日ソ国交回復後の56年、日本は80番目の国として国連に加盟した。33年の国際連盟脱退から実に23年目の国際社会への復帰だった。

 日本は来年1月から2年間の任期で非常任理事国になる。平和憲法を持つ日本は、世界平和に独自の貢献ができるはずである。

 日本ならではの構想力を示すとともに、外交努力を粘り強く続け、国際社会の信頼を勝ち得てもらいたい。