名護市辺野古の新基地建設で、石井啓一国土交通相の送った執行停止決定通知書が28日午前、沖縄防衛局に届いた。これで翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しの効力は停止状態になり、防衛局が埋め立て工事に向けた作業を進める根拠が復活した。防衛局は直後に県環境政策課へ埋め立て本体工事の着手届け出書を提出した。29日朝、本体工事に着手する。

名護市辺野古の新基地建設埋め立て工事に向け、県環境部に本体工事着手届け出書を提出する沖縄防衛局の職員(左)=28日午前、沖縄県庁

 また石井国交相は28日、翁長知事の埋め立て承認取り消し処分を違法として、地方自治法に基づき、是正を求める勧告文書を県に郵送したと発表した。11月6日までに処分の取り消しを求めている。国交相は、知事が勧告とその後の指示に従わない場合、高等裁判所に提訴する構えだ。

 県は取り消しの効力停止に対し、国と地方公共団体の争いを扱う「国地方係争処理委員会」に週明けにも審査を申し出る方針を固めた。国と県との対立は激化し、情勢はめまぐるしく変化している。

 是正勧告書では、翁長知事が一貫して埋め立て阻止を主張していることから「取り消し処分を維持する決意は固い」と指摘。普天間飛行場周辺住民に対する危険性の継続と米国との信頼関係に悪影響を及ぼすことによる外交・防衛上の重大な損害が生じることを理由に挙げ、知事に対し処分の是正を求めた。

 工事着手届け出書は防衛局と県との事前協議の終了が前提で、防衛局は終了、県は継続と認識が分かれる中で、提出された。受け取った県環境政策課の金城賢副参事は「県は工事着手が可能な状況にはないと考えている」と述べ、着手届を預かるにとどめた。

 ただ、行政手続法では県庁に到着した時点で届け出は有効になり、防衛局は本体工事に着手できることになる。防衛局は工事期間を29日から2020年10月31日と設定した。

■翁長知事「容認できない」

 翁長雄志知事は28日、沖縄防衛局が名護市辺野古で新基地の本体工事に向けた工事着手届を県に提出したことについて「事前協議が未了にもかかわらず提出されたことは甚だ遺憾であり、断じて容認できない」とするコメントを発表した。