当時勤務していた中学校の校長から厳しく叱責(しっせき)されるなどパワーハラスメントを受けて退職に追いこまれたとして、元教頭が損害賠償を求めていた訴訟で、校長のパワハラが認められた。今回表面化したような学校現場のパワハラは「氷山の一角」との指摘もあり、沖教組や高教組は組織的な相談体制や防止策の強化を求めている。

 沖教組が小中学校や幼稚園の教職員を対象に実施した2016年度のアンケートでは、パワハラやセクハラを受けたことがあるとの回答が164人。管理職による人事評価が給与に反映される教職員評価システムも始まり、「管理職にパワハラなどの問題があっても相談しにくい」との声もある。

 市町村立小中学校の教員の場合、各市町村教委がパワハラなどの相談窓口になるが、対応にはばらつきもあるとされる。

 県立高校の教員などに対しては、県教委がホームページや電話などで相談を受け付けているが、17年度の相談件数はこれまでゼロ件で、浸透しているとは言い難い。

 沖教組の佐賀裕敏委員長はパワハラを認めた判決について「管理職にハラスメントの深刻さを考えてもらうきっかけになる」と一定の評価をしつつ、「市教委の責任に言及していないことには不満が残る。相談窓口が十分ではない市町村教委もあり、もっと責任意識を持ってほしい」と要望する。

うつ病の後に認知症を発症

 「二度とパワハラ問題を起こさないで」。判決を那覇地裁で聞いた原告の夫(60)=豊見城市=は、被告の那覇市側に求めた。うつ病の後に認知症を発症した妻は介護が必要で、法廷に来ることができない。今でも教壇で熱心に教える元気な姿が目に浮かぶ。「妻は人生を狂わされた。人の命に関わる問題だと理解してほしい」と訴えた。

 国語教諭だった妻は責任感が強かったという。校長の言動で病気休職に追い込まれても、「他の教員に迷惑がかかると、自分を責めていた」と振り返る。

 夫は妻の休職が長引くことから、教頭の補充を市教委に求めたが「(妻が)降格しない限り、教頭ポストは空かない」と取り合ってもらえなかったという。「復職を支援する姿勢ではない。もっと違う対応ができたはずだ」と憤る。

 「教員は人を育てる仕事」が口癖だった妻。その道半ばで、なぜ退職に追い込まれなければなかったのか。「学校の職場環境がよくならないと子どもたちは育たない。原因を解明して説明してほしい」と語った。

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