沖縄防衛局は29日午前8時、名護市辺野古の新基地建設で「埋め立て本体工事に着手した」と発表した。翁長雄志知事は埋め立て承認取り消しの違法性をめぐる最終判断が示されない中での強行と批判。「強権極まれりだ」と怒りをあらわにした。沖縄県は同日、石井啓一国土交通相が翁長知事の埋め立て承認取り消しの効力を停止した決定に不服があるとして、11月2日に総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る、と同相に事前通知した。政府と県の対立は一段と深まっている。

キャンプ・シュワブ内で陸上ヤードの整備作業を進める重機=29日午前9時54分、名護市辺野古

埋め立て本体工事着手を受け会見する翁長雄志知事=午後4時すぎ、沖縄県庁

キャンプ・シュワブ内で陸上ヤードの整備作業を進める重機=29日午前9時54分、名護市辺野古 埋め立て本体工事着手を受け会見する翁長雄志知事=午後4時すぎ、沖縄県庁

 キャンプ・シュワブのゲート前や辺野古沿岸の海上では抗議する住民と、警察官や海上保安官との激しいもみ合いが繰り返された。

 防衛局はシュワブ内の辺野古崎の先端で、護岸工事に必要な資材の製作や保管場所として使う陸上作業ヤード2カ所、計4万平方メートルの整備を始めた。埋め立て工事に向けた準備に当たる。これまでの海上作業は調査、設計にとどまっており、今後、本格的な工事に移行するつもりだ。

 防衛局は翁長知事の埋め立て承認取り消し以降、止まっていた深場5カ所でのボーリング調査と、埋め立て予定区域の地層を把握するための音波調査の作業も再開した。

 辺野古崎の先端では作業員がショベルカーで砕石をダンプカーに積んだり、クレーンでオイルフェンスを下ろしたりする作業が確認できた。作業ヤードの整備ではシュワブ内の建物解体で出たコンクリートのがれきを砕き、再生資材として敷き詰めるという。

 住民らは船3隻とカヌー11艇に乗って近づき「埋め立ては民意に反する」と抗議の声を上げた。

 シュワブの旧ゲートから同日午前7時すぎ、重機や資材を載せたトラック6台が入った。住民らが抗議行動を続けた。名護署は同日午前、侵入防止用のネットを引き裂いたとして、男性1人を器物損壊容疑で現行犯逮捕した。

 また、石井国交相が知事の取り消しを違法として、取り消し処分の取り消しを求める是正勧告の文書が同日、県に届いた。期限を11月6日に定めているが、翁長知事は「取り消しは適法なので応じるつもりはない」との見解を示した。国は代執行を見据え、高等裁判所に提訴するとみられ、法廷闘争は確実な情勢だ。

■翁長知事「激しい憤り禁じ得ぬ」 協議打ち切り批判

 翁長雄志知事は29日夕、県庁で記者会見し、沖縄防衛局が名護市辺野古の新基地建設で本体工事に着手したと発表したことに「激しい憤りを禁じ得ない。沖縄の気持ちに寄り添う意思が微塵(みじん)も感じられない。県民の怒りを助長するだけだ」と強く批判した。

 県が求めた着手前の事前協議を、防衛局が「終了した」と捉えていることには「県が付した留意事項を無視する暴挙で、強く批判されるべきだ」と述べ、事前協議は終了していないとの認識を強調した。

 菅義偉官房長官が着工と同時期にグアムを訪れ、在沖海兵隊の移転に向けた進捗(しんちょく)を視察していることには「パフォーマンスと言わざるを得ない」と指摘。

 「何も期待していないし、何か言葉が出てきても5年ぐらいのスパンで検証しないと、一過性のもので終わるんでないかと心配している」と実効性を疑問視した。