埋め立て本体工事着手で新局面を迎えた新基地建設問題は、今後、三つの側面から県と政府の激しい対立が予想される。

 一つは、県民や国民の支持を得るための「情報戦」という側面である。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を進める政府が29日に、「埋め立て本体工事」として着手したのは、キャンプ・シュワブ敷地内の作業ヤード整備だった。護岸工事に必要な資材を保管する場所になるという。

 同日朝、防衛省沖縄防衛局による「埋め立てに係る工事着手」の発表で、新基地建設問題は大きな節目を迎えることとなったが、当面、陸上部分の作業にとどまるものを「本体工事」と発表し強行する裏には、「工事が進めば県民も諦めるだろう」という思惑が透けて見える。

 同じ日、菅義偉官房長官は在沖米海兵隊の一部が移転する予定の米領グアムを訪ね、グアム選出の米準議員に、移転計画の着実な実施を要請した。10年近く前に日米間で決まったものの進んでいない計画だ。

 米国に対しては、合意した新基地建設が問題なく進んでいることをアピールする狙いがあったのだろう。国内向けには、沖縄の負担軽減に汗を流しているという「世論操作」である。

 国が埋め立て工事を続行する理由と、県が新基地を拒む理由のどちらに正当性があるのか。それを内外にどれだけアピールできるかが、これからますます重要となる。

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 二つ目の側面は法律的な解釈をめぐる対立だ。

 政府は辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事に対し、行政不服審査法に基づく取り消し処分の「効力停止」と、地方自治法に基づく「代執行」手続きの二つの対抗措置を取ってきた。

 国に申し立ての資格がないとされる行政不服審査法や、知事の権限を奪う代執行を同時に打ち出すなりふり構わないやり方は、見方を変えれば焦りの表れである。

 辺野古現地で続く激しい対立が三つ目の側面だ。

 本体工事着手を受け、基地ゲート前などでは体をはって抵抗する住民と機動隊員らが緊迫した状態で対峙(たいじ)している。

 防衛局によると埋め立てに要する期間は5年。私たちが危惧するのは、この間ずっと混乱が続くのかということだ。

 不測の事態が予想されるこの一点をとっても、とても負担軽減策とはいえない。

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 新基地建設問題をめぐっては、県も、反対する市民運動も、新たな局面に立たされている。非常に厳しい局面であり、従来のままでは立ち向かえない。

 これから始まる政府との裁判闘争への準備はもちろん、現場での取り組み強化が必要だ。

 県には政府が矢継ぎ早に繰り出す対抗策に対抗する先手先手の戦略が求められる。

 毅然(きぜん)と抗議の声を上げる住民らの運動も、人員の強化など体制を再度構築していく必要がある。