フランスで開かれた欧州最大規模の漫画の祭典、アングレーム国際漫画祭で、楳図かずおさんのSF漫画「わたしは真悟」が、永久に残すべき作品として「遺産賞」に輝いた。日本人3作目の快挙という(31日付7面)

▼30年以上前の作品で、中学年のころに読んだ。工場で働いていた主人公の父親は、仕事をロボットに奪われ失業する。主人公がロボットに言葉を覚えさせるとある日、自らの意思と感情を持ち世界中の人間の悪意をエネルギーに暴走していくストーリー

▼人間とロボットの関係を描き、AI(人工知能)開発が進む現代社会を予言していたかのようだ。すでにホテルの案内や医師への診断助言、コーヒー提供まで活躍の場が広がるスピードには驚かされる

▼オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授は、米国内の雇用者総数の47%が今後10~20年で自動化されるリスクが高いと予測。その職業は銀行の融資担当者や運転手、通訳など幅広い

▼人間の仕事が奪われる一方で、機械化についていけない人を救うマインドカウンセラーなど新たな職業も生まれる

▼AIを活用してよりよい社会をつくれるかは、過度な競争ではなく人間同士の愛情や弱者を思いやる気持ちにかかっている。楳図さんが、30年以上も前に発したメッセージを、心に留めたい。(知念清張)