安倍晋三首相をはじめ関係閣僚らが沖縄の基地問題に触れるときのキーワードの一つに「負担軽減」がある。だが、政府がやっていることは、まったく逆のことだ。言葉がしらじらしく響く。

 米軍伊江島補助飛行場で最新鋭ステルス戦闘機F35の訓練用に計画されている着陸帯の改修工事で、F35とともにCV22オスプレイを収容できる駐機場の整備が盛り込まれていることが分かった。

 CV22は空軍仕様の垂直離着陸輸送機で、2017年に横田基地(東京都福生市など)に配備される予定だ。CV22の県内の訓練場所は防衛省が公表した環境レビューには「沖縄の訓練場」としか記されておらず、具体的な施設名が明らかになるのは伊江島補助飛行場が初めてだ。F35も17年に岩国基地(山口県)に配備される予定である。

 着陸帯の改修工事は11月上旬に入札が行われ、17年7月までには完了する見通しだ。

 伊江島補助飛行場ではすでに普天間飛行場に配備されている海兵隊仕様のMV22オスプレイの訓練が行われ、騒音が激化している。その上にCV22とF35の訓練が始まると、伊江島が米軍機の一大訓練拠点になる可能性がある。

 F35に関して村議会や飛行場に隣接する西崎、真謝両区とも反対決議をしている。

 問題は村が再三再四、沖縄防衛局に訓練内容を照会しても情報提供がないことだ。

 CV22の訓練と駐機場整備は村も初めて知った。基地負担が増大する地元をないがしろにするものだ。政府は説明責任を果たさず、なし崩し的に既成事実化しようとしているとしか思えない。

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 MV22は12年10月から普天間に配備が始まり、現在24機が運用されている。この際も伊江村には事前説明がないまま伊江島補助飛行場に6カ所の着陸帯がつくられた。

 騒音は激化するばかりだ。沖縄防衛局によると、60デシベル以上の騒音は西崎区で14年度5741回。1日平均16回近く、前年度と比べ3割以上の増加だ。午後10時~午前7時も14年度は206回、前年度比で20回増えた。

 いまでも「夜間の騒音で眠れない高齢者もいる」(儀間五子西崎区長)ような劣悪な生活環境に置かれるのに、CV22、F35の訓練が加わったらどうなるか。

 CV22は特殊作戦用であるため、夜間や低空飛行など厳しい条件下で訓練する。事故率も必然的に上がる。MV22と比べても約3倍に上る。

 F35は離着陸訓練の騒音が激しく、米本国でも基地周辺住民から反発が起きている。    ■    ■

 中谷元・防衛相はMV22の佐賀空港への訓練移転要請を山口祥義知事が反対しているため取り下げた。沖縄では全市町村長・議長らが反対したのに問答無用で配備した。「沖縄差別」というほかない。

 仮に新基地が完成すれば、北部一帯は伊江島補助飛行場を含め機能強化され、巨大な軍事拠点が出来上がる。

 CV22やF35の主要な訓練が沖縄でなされるならば、「本籍」は横田、岩国でありながら、「現住所」は沖縄という懸念が消えない。