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  • 沖縄県が申し出る係争委で審査されたのは過去に2例だけ
  • 横浜市は場外馬券売り場課税で国と対立し再協議を勧告された
  • 新潟県は北陸新幹線工事手続きに瑕疵(かし)を主張したが却下

 名護市辺野古の新基地建設をめぐって沖縄県が2日に審査を申し出る国地方係争処理委員会(係争委)は、地方自治法に基づき国と地方の争いを解決する第三者機関だ。2000年に総務省に設置されて以降、場外馬券売り場への課税を国が不同意としたことを不服とした横浜市(01年)と、北陸新幹線の工事を国が認可したのは無効と主張した新潟県(09年)が審査を申し出た。過去の審査例が2件と少なく、沖縄県の申し出に対し、係争委がどのような判断を下すのか。予測することは困難だ。

沖縄県庁

【2001年・横浜市】初のケース 再協議勧告

 2001年に場外馬券売り場の売り上げに、独自に課税しようとした横浜市が、反対する総務省と衝突。「国の経済施策に照らして適当でない」などとして、同省は地方税法に基づき新税に同意せず、協議は平行線をたどったため、市が係争委に審査を申し出た。

 初めて係争委が判断を求められたケースだけに、全国から注目を集めた。総務省側は、新税を認めて全国の自治体も同じような税制を導入すれば、畜産振興や社会福祉事業などに充てていた資金が減少することを挙げて「国の経済政策に重要な影響を及ぼす」と主張。

 これに対し同市は、馬券売り場を運営する中央競馬会(JRA)の畜産振興などの施策について「誰が見ても国の重要施策に当たらない」などとして、主張は真っ向から対立した。

 係争委は、国の同意は「国の関与」としたが、新税導入に必要な総務省の同意基準が明確になっていないことなどを指摘。「建前を貫こうとしたためか、真の意味での協議がなされたとは言い難い」として国へ再協議を勧告した。国は同市との協議を再開したが、市は04年2月、「独自課税より税源移譲を進めるべきだ」として導入断念を発表した。

【2009年・新潟県】県の主張認めず却下

 ことし3月に開業した北陸新幹線の長野-金沢間(228キロ)。工事をめぐって、新潟県の泉田裕彦知事と国土交通省が対立した。

 発端は、2009年1月に国が同県に求めた工事費約220億円の追加負担。泉田知事は県への説明や意見聴取が不足しているとして、同年10月、新規工事の不同意を表明。

 しかし国交省は工事を認可し、知事は「手続きに瑕疵(かし)がある」とし、認可の無効確認を求めて係争委に審査を申し出た。

 同年12月から始まった審査で知事側は、「認可は県への『国の関与』で、意見聴取手続きに瑕疵がある行政処分だ」などと主張。しかし係争委は、認可は地方自治法245条が定める国の関与ではなく、審査対象ではないとして申し出を却下した。その後、泉田知事は国との話し合いを再開。「国との信頼関係が再構築できた」として負担金の支払いに応じた。

 係争委への審査申し出に関わった新潟県の坂井康一危機管理監は「県の主張が係争委で取り上げられなかったのは残念だった」と振り返り、「沖縄県も新潟と同様、言い分を聞いてもらいたいから審査を申し出るのだろう」と理解を示した。

 【ことば】国地方係争処理委員会 1999年の地方自治法の改正により、総務省に設置された第三者機関。国と地方間で争いが生じた場合、不服がある地方自治体の長などからの申し出に基づいて審査をする。国の関与が違法と認めた場合は、必要な措置を講じるよう国に勧告する。委員は学識者ら5人で、審査申し出があった日から90日以内に審査、勧告をする。地方自治体は勧告などに不服がある場合、高等裁判所に訴えることができる。