名護市辺野古の新基地建設で、埋め立て承認取り消しの効力を暫定的に停止した石井啓一国土交通相の決定を不服として、沖縄県は11月2日、「国地方係争処理委員会」(係争委)に対し、審査の申し出書を提出した。それを受け翁長雄志知事が記者会見を開いた。冒頭の知事発言と、記者団との質疑応答は次の通り。

国地方係争処理委員会への審査申し出について、記者の質問に答える翁長雄志知事(中央)=2日午後5時すぎ、県庁

【冒頭発表】

翁長知事 

 国地方係争処理委員会へ審査申し出を行ったことについて、報告申し上げます。

 本日、先月27日付で国土交通大臣が行った、辺野古新基地建設に係る公有水面埋立承認取消処分の効力を停止する旨の執行停止決定について、地方自治法第250条の13第1項の規定に基づき、国地方係争処理委員会に審査申し出書を提出いたしました。

 本県としましては、主に次に述べる理由から、国土交通大臣の執行停止決定は違法な関与行為であると考え、審査を申し出たものです。

 第1に、代執行手続きには、執行停止の手続きが定められておりません。このたびの本件執行停止は、まさしく、代執行手続きが進められている間も埋め立て工事を行うための方便として使われているものにほかなりません。政府は、「辺野古が唯一」との方針を明確に示しておりますが、憲法上、内閣の構成員は一体となって統一的な行動をとることが求められています。沖縄防衛局長は、防衛大臣の指揮命令を受けて業務に従事しているに過ぎず、また、内閣の構成員である国土交通大臣が、閣議決定等が行われている辺野古移設の方針に反する判断を下すことは不可能であります。したがって、今回の審査請求では、判断権者の公正・中立という行政不服審査制度の前提が欠落していると言わざるを得ません。

 第2に、本来、公有水面埋立承認は、国が米軍基地の建設を目的として、「固有の資格」、つまり私人には行い得ない立場において受けたものです。本件執行停止決定が、沖縄防衛局長を私人と同様の立場にあると認めたのは明らかに誤っております。この点につきましては、先日100人を超える行政法学者も批判しているところです。

 国地方係争処理委員会におかれましては、同委員会が設けられた趣旨に則り、中立・公正な審査をお願いしたいと思っております。

 今後も、辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考えであります。

 【質疑】

 記者 知事は承認取り消しの執行停止が不適法だと国地方係争処理委員会に審査を申し入れた。執行停止について、申し入れ手続きを定めた地方自治法245条3号の規定で除外対象となると指摘する専門家もいる。知事は前回の会見であえて「審査対象になる」と強調した。今回の申し入れが却下、門前払いされたら対応どうするか。

 知事 これは法律的に正確に答えないといけないから竹下先生にお願いします。

 竹下弁護士 今すぐに却下されるとは念頭に置いていないが、手続き的にあり得るとすれば地方自治法の規定に則り、さらに高等裁判所に審査をお願いするかどうかを含めて検討すべきことだと考える。

 記者 印象論でもいいので答えてほしいが、国交相の執行停止で承認取り消しは承認されている状態になった。承認されている状態にもかかわらず知事の代わりに国が代執行手続きに入ったのは論理的に矛盾しているんじゃないかと指摘する専門家もいるが、感想は。

 知事 今回、国がとった相矛盾する法律の2本立てで来たのは私からすると茶番劇だと言わざるを得ない。まさしく、沖縄では何でもあり、沖縄に対してのあり方は何でもありだと今回の国の対応の仕方で大変強く感じて残念だ。

 県民に寄り添う、あるいは負担軽減とある意味で美しい言葉でこの問題の解決の話しをするが、今回の法律的な問題からしても、私たちからすると県民を愚弄する、あるいは沖縄県にしか基地を置かないという考えが見えてきて大変残念だ。

 地方自治法245条の8に基づく代執行は、代執行等以外の措置で是正を図ることが困難であり、かつそれを放置することで著しく公益を害することが明らかな時にされるもの。国交相は、さる10月27日に閣議後会見で国交省としては審査請求の審査過程で今回の翁長雄志知事の取消処分は公有水面埋立法に照らして違法だと判断するにいたったというが、一方で閣議で国交相として代執行の手続きに着手することが政府の一致した方針として口頭了解され、公有水面埋立法を所管する国交相としてまずは代執行の手続きを優先して行い、状況を見て審査請求の手続きをどうするか考えると述べている。

 行政不服審査法は国民の権利、救済を簡易迅速に行う制度。違法だと判断すれば迅速に裁決をするのが審査庁のつとめだ。意見書950ページ、弁明書950ページは大変な分量だ。それを2、3日で判断して執行停止処分をした。

 審査請求はこれからあと何カ月、何年になるか分からない形で審査をすると。そういう状況で代執行を改めて提起する、この矛盾したことについて私は法律の分からない国民、県民も矛盾した国の強権的な手法に、憤りと、首をかしげて見ていると思う。

 国は自ら司法判断を求めた以上、その判断が出るまでの間、工事を続行するべきではないと考える。

 記者 係争処理委員会へ申し立てたことで90日以内に結果が出る。それまで工事が進むかもしれないが、工事を止める措置をどう考えているか。政治的な行動含めて。

 知事 90日以内に結果が出るということですが、私たちからすると、竹下先生からもあったように、私たちの申し出に正当な権利というか主張があると思っているので、おそらく私たちの申し入れが理解されると思って今回、係争処理委員会に審査を申し出た。

 ただ、その間、国はいわゆる執行停止の処分を受けて、なおかつ工事ができるようにして代執行の手続きをすると。

 今日まで言っているようにありとあらゆる手段で、辺野古に基地を造らせないときている、裁判は裁判で、私たち県として、あるいは現場の名護市といろいろ工夫しながら、これからも辺野古に基地を造らせないと真剣に今日まで考えてきたので、そういったものを駆使して、工事着工をさせない方向で頑張りたいと思います。

 記者 本日県として、事前協議の打ち切りを防衛局がやったことに対して再開するようにと、事前協議の間、工事を中止するよう行政指導文書を出したが、応じない場合はどう対応するか。

 知事 執行停止が決定されたので事前協議を再開し、留意事項で付した環境保全措置などについて協議することになると思う。県としては事前協議が整うまでは本体工事に着工すべきでないと考えているので、そのような形で対応したい。

 記者 それを守らない場合、行政指導の次の段階はどうなるか。

 知事 もし守らなかったらという仮定のことには答えないが、いずれにしても、環境保全の意味ではみなさんご承知どおり、環境監視等委員会の指導助言が根底から疑われているようなことも出てきた。

 事業を行う企業から寄付金をもらったり報酬を受けてる委員とか、そういったこともあったし、そういったことの議事録の全面公開、発言内容の特定などいろいろあるが、いずれにしても工事を着工するべきでないと、まずは相手方にしっかり伝えてから私たちの判断をしたい。

 記者 環境委員会の議事録の全面公開と、発言者の特定を求めたいということか。

 知事 発言の当該委員ということなんですよね、特定という言葉が良いかどうか分かりませんが、そういった当該委員の確認のできる議事録の全面公開を求めている。それは11月4日までに回答するべきだと申し入れてある。

 ですから、明後日までに私どもが重大な疑念があるので事実関係や委員の選任方法などに関する調査実施と県への報告および当該委員の発言内容を確認できる議事録の全面公開を11月4日までに出してほしいと言っている。

 記者 発言者の特定ということではない?

 知事 当該委員の発言内容ということと特定どういう違いがあるかよく分かりませんが、準備した(=県が求めたこと)のは当該委員の発言内容です。

 記者 知事の取り消しの効力を停止して以降、国が立て続けに本体工事着手する届け出をして、実際に着手して、是正勧告。このタイミングで知事が係争処理委員会に訴えるのは政治的にどのような意味、狙いがあるか。

 知事 この一連の流れが、菅官房長官が考えているのか分からないが、私からすると大変余裕のない行動。そういった意味での慌てふためいたような感じのものについて、日本の安全保障を考えるという意味で、いかがなものかなという風に思っております。

 このタイミングでということでありますが、沖縄県の決意を広く国民や世界に示したいという意味からすると、こういったものには一つ一つ丁寧に、しかし決然と県民の意思を表しながら、この問題に対処しないと、私はむしろ沖縄のためでもあるが、日本の民主主義という意味でも大変な禍根を残す。あるいは日米安保というと世界の問題でありますので、その日米安保体制が品格のあるものであってほしいということも含めて、今回の手続き等の問題は一つ一つはそう大きくないように見えるかもしれませんが、一つずつちゃんとやることが一番大切と思っていますから、そのように思って対応させていただきたい。

 記者 一部で報道あったが、移設計画を阻止するに当たって、承認の撤回を検討しているか。

 知事 これに限らず、法的な対応はいろいろ考えながら、今日まできている。相手があることですので、これがこうだ、あれがああだということは現時点で申し上げられないが、いろいろ想定できるのは、法律の先生方からいろいろご指導いただいて、なるほどというような気持ちを持ちながらこの問題に対応している。

 記者 今後、代執行の手続きに関連して、政府側と裁判で争うことになると予想されるが、取り消しに関する裁判の結果を待たずして撤回はあり得るか。

 知事 これは、おそらくは先生の方から。さっきの私の話に含まれていると思いますが、その辺一言よろしくお願いします。

 竹下弁護士 弁護士が答えるべきものなのかどうなのか、若干分からない、最後は知事がご判断すべきことなんだろうと思うが、国地方係争処理委員会の判断、それから代執行の判断、そういったものがどの時点でどういう風に出てくるのか含めた上で、タイミングとかいろんなものを図りながら、これ以外の方法があるのかないのか、あるとして、どのタイミングで行うのがいいのか、ということは最後は知事が判断することですので、備えはしていきたい。

 記者 事前協議。承認の時点で県が付した条件と言える事項。今回、承認取り消しをしている知事が付した条件に対して県と防衛局は相反する主張を繰り返している。応じない状態が続いていることについて、留意事項の位置付け、重みは? 踏み込んだ対応ができるのか。

 知事 私が取り消しをして、承認が取り消されたということなので、工事が続行することができない。その意味で、事前協議はないですよと、工事はやれないわけですから。ところが、執行停止をして、今度はその執行停止の中で事前協議はやらないと言ったじゃないかという、実に子どもでも分かるような意味合いをつけて、こういったことに防衛局がやることそのものが、すべての分野においてそうだが、何が何でもというような気持ちで、県民や国民が首をかしげるような判断をしている。それの延長線上の法律的な問題は竹下先生にお願いしたい。

 竹下弁護士 結局、最後は私たちもどういう風にするのかという助言はするが、最終的に県がどういう判断をするのか、というのをみていただくしかないという風にしか現段階では答えられない。

 記者 再度、訪米して県の考えを訴える考えはあるか。

 知事 就任してから今日までずっとそうだが、県民への説明、あるいは国民の全体の皆様方への説明、それからやはり日米安保体制というもあるし、日本の今の国のあり方がどうも主体的に自分の意思で政治をしているような感じがしないところもありますから、ワシントンDCにも行き、過去も何回も行ってるから、そういったようなワシントンの状況もよく分かりつつ、向こうで話をさせていただいた。

 そういうこともあって大変有名な新聞社が何回か取り上げてもくれた。やはりそういった基本的なベースは持ちつつも、タイミングというものも、まずは形式的にも議会がある間は行くことができないし、実際上、行く時に意味があるという一定程度の判断は持ちつつということなので、時期などは言えないがそういったような改めてワシントンDCに行き沖縄の現状、あるいは辺野古の現状を訴えていきたい。

 記者 菅官房長官が記者会見で、知事が自民県連幹事長を務めていた99年に県議会で普天間飛行場の早期県内移設を求める決議を可決に導いたと言及した。知事はどう反論するか。

 知事 菅官房長官が国を代表して、そういう質問をすること自体が、大変ご自分の今日までの流れも考えてほしい。政府が何をどういう風にしたのかを。稲嶺知事が15年という期限を設けて軍民共用を許可したこと。あるいは岸本市長が使用協定を。こういったことも一緒に議論させてほしい。

 期限について稲嶺さんの考えを大変重要視したからこそ、橋本内閣で閣議決定した。そして小泉内閣の時にこの閣議決定を取り消した。こういう国のあり方に反省もなく、このように、ころころころころと変わりながら、沖縄の基地のあり方をやっていく。

 今日に至るも、ある意味で月替わりで話が少し違うのではないかと思っている。そして私の1999年という時代は、いま申し上げた15年問題とか(軍民)共同使用とか、そういった問題を議論する中での話である。なおかつ、いわゆる冷戦構造時代、あるいは55年体制、特に細川連立内閣ができ、日本の55年体制が終わったという大きな意味合いもある。そして自由民主党が液状化して、今の政党の幹部に元の自由民主党の方がたくさんおられる。戻ってきた人もいる。名前を挙げたらきりがないくらい液状化をして、それぞれの時代背景を元にして政治をやり始めたと言うことだ。

 そして私は稲嶺さんの時の県連の役員でもあったから、そういったものについては辺野古の移設ということについての話はさせてもらった。しかしそれは数年後には反故(ほご)にされて、そしていわゆる時代背景の中で沖縄に対していろんなことが起きた。

 私はこんなに長く話して良いのかと思うが、小さいころから沖縄は保守と革新に分かれていると、沖縄問題の解決はできないということで、今日までの発言録はこういうのがたくさん残っている。だから保革を乗り越えてイデオロギーを乗り越えて県民の心を一つにして0・6%に74%というようなものは、ぜひともなくしてもらいたいと。この運動をやりたいと思っていた。しかし政治家としては熟度という部分がある。

 私からすると政治はずっと小さいころから見てきているので、どの時点でどういう判断をしたら、これが効果的に表れるのかと言うことは政治家として当然課せられた使命だ。いたずらにどうこうというわけではない。しっかりとベースを守りながら、一つ一つ、今あるオール沖縄、イデオロギーよりアイデンティティ。特に那覇市長になってからは自民党から離れたので、ある意味でフリーで政治を考えられる素地ができた。県議会議員のときには組織の役員なので那覇市長になって、私は大きくスタンスを広げていったわけだ。

 個別に話をするとたくさんある。一番最初に言うとゴルバチョフさんを呼び寄せたり、あるいは私の市長公室長に組合の委員長から採用をして、保守も革新もないんだということを人事の面でも表した。だから私のものは、そういったことを一つ一つつなぎあわせていくと、しっかり、今のような考え方に行き着くようなものを持っているわけで、菅さんの様に沖縄の歴史に何ら興味がないという話をされる中で、日本の安全保障を支えている沖縄県の問題に対して、いろいろ画策をしていることについては、私からするとたいへん残念無念な思いだし、もしそういった議論を官房長官が私とやりたいと言うことであれば、私はしっかりと1対1で話をさせていただきたいと思うくらいだ。