【名護市長選取材班】辺野古新基地建設などを争点にした4日の沖縄県名護市長選挙は、「市民生活向上」を訴えた渡具知武豊さん(56)が現職を大きく離し、初当選を果たした。保育料や給食費の無料化などの公約が幅広い層に広がり、自民、公明勢力で8年ぶりの市政奪還。目に涙をため、支持者と喜び合った渡具知さんは「名護の現状を国に話し、必要な予算をお願いする」と街づくりの進展を約束した。

テレビ各社の当確速報後、親族や支持者とガッツポーズをする渡具知武豊さん(手前右)=4日午後10時56分、名護市大南の選挙事務所(下地広也撮影)

基地問題より「生活向上」訴え

 「名護を変えてくれ。発展させてくれという強い思いがあった」。渡具知さんは高揚した声で支持者に感謝した。当選確実の報が午後10時28分、テレビに流れると、割れんばかりの歓声に包まれた選挙事務所。選挙戦では基地問題に極力言及せず、保育料の無料化やごみ分別の簡素化など「市民感覚」に響く公約を連呼し、共感を広げた。目に涙をため、支えてくれた家族と喜び合った渡具知さん。「もっと明るいまちにする」と前を見据えた。

 名護市役所前の選挙事務所には午後8時ごろから宮里達也後援会長らが待機。渡具知さんは盛大な拍手の中、午後10時に事務所入りして中央の座席に座り、硬い表情のままテレビに見入った。支援者からは報道各社の開票情報に「よっしゃ」「あー」と一喜一憂の声が漏れた。

 当初は「勝てない候補」とみられていた。昨年7月、選考委員会が渡具知さん擁立を決めたが、自民党本部から見直しを迫られた「屈辱」を家族の励ましで奮起に変えた。市内各地で数えられない回数の演説をこなし、地域や各年代に届く公約を強調。選挙中盤には喉を痛めながらも、声を張り上げ続けた。

公約実現の予算「国にお願いする」

 「名護は基地問題だけではない」。市民の「変化への期待」を背に受け、盤石とみられた現職に追い付き、最後は大きく抜き去った。

 報道陣から基地問題への対応を問われた渡具知さんは「国と県の裁判の行方に注視する。行政の長は法律に従う以上のことはできない」と述べた。公約を実現するための予算については「国にお願いする」と話し、振興策を中心とした街づくりを約束した。

 支援者一人一人と握手を交わした渡具知さんは報道陣の問い掛けもそこそこに、各支部への当選あいさつ回りで事務所を後にした。