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  • 非暴力の市民に警視庁「精鋭」の機動隊を投入するのは極めて異例だ
  • 政府側は関与を否定するが、運動を萎縮させ弱体化させる意図では
  • 新たな「琉球処分」とも指摘される工事を止め機動隊を撤退すべきだ

 名護市辺野古の新基地建設をめぐり、市民の抗議行動が続く米軍キャンプ・シュワブゲート前に、警視庁の機動隊が100人規模で投入されている。辺野古で県外の機動隊が市民に直接対峙(たいじ)するのは初めてだ。少なくとも年内の予定で、来年まで延長する可能性もあるという。

 警視庁の機動隊といえば、「鬼」「疾風」などの異名を各隊が持つ屈強な部隊。都内でデモ対応などの経験があり、即応力を備える「精鋭」たちだ。

 かたやゲート前で反対の声を上げるのは、辺野古に新基地を造らせない、との一念で集まった市民ら。過酷な沖縄戦やその後の米軍支配下を生き抜いてきたお年寄りの姿もある。

 国内外の要人が出席するイベント開催に伴う一時的な警備ならともかく、非暴力の市民の行動に対応するために、「精鋭」部隊を投入するのは極めて異例だ。

 ゲート前の警備態勢が長期化し、県警内での人繰りが厳しくなる中、県公安委員会を通し警視庁に応援部隊の派遣を要請していたという。

 政府側は県警の要望だったと強調し、関与を否定している。だが、何が何でも新基地を造るという強硬姿勢を再三見せられてきた県民にとって、反対運動を萎縮させ、弱体化を狙う意図が働いているとしか思えない。

 そもそも、これまでの政府の強権的な姿勢が、抗議活動の「激化」を招いた。政府はその事実を重く受け止めるべきだ。

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 警察法は、警察の責務の遂行に当たり「日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用(らんよう)することがあってはならない」と定めている。

 抗議のために座り込みをする市民を警察官が強制的に排除し、老若男女を問わず力ずくで押さえ込む。機動隊とのもみ合いの中でけが人も出ている。こうした状況は、法の理念に反しているというほかない。

 環境保護団体グリーンピース・ジャパンへの沖縄総合事務局の対応も疑問だ。同団体の船「虹の戦士号」が辺野古沖に停泊するための申請を、総合事務局が却下した。「混乱が生じやすくなるため安全確保ができない」というのが理由だ。

 だが、詳細な予定行動表や停泊ポイントは事前に海上保安庁に伝えていた。停泊を認めないのは、辺野古の実態を世界に発信するのを阻むためではないか。

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 地方自治法に基づく国の代執行の手続きで、翁長雄志知事は6日、埋め立て承認取り消しの是正を求めた国土交通相の勧告に対し、拒否する意向を文書で通知する。これを受け国交相は、勧告の次の段階に当たる是正の「指示」をするとみられる。

 沖縄の民意を無視し、権力で押さえ付けて意に沿わせようとする。新たな「琉球処分」とも指摘されるこうした事態が進めば、不測の事態が起こりかねない。政府は、正当性のない新基地建設工事を止め、警視庁機動隊を撤退させるべきだ。