翁長雄志知事が6日の記者会見で、記者の質問に答えた全文は以下の通り。

 ―今回の国交相の勧告に対して何も返事をしない選択肢もあったと思うが、勧告に応じないという文書を送った理由と、公開質問状を送った背景は。

 知事 これまでも国との交渉の中ではしっかりした対応をとっていくということで、一つ一つこの1年間やってきた。書面の場合は書面で、人的に担当者が直接渡した方が良いなら渡すなど。今回、勧告の手続きにおいてもおっしゃったような形でやっていきたいということだ。国に対する公開質問についてだが、これについては、法律の内容等が分かる人はよく分かるが、なかなか国民や県民がよく分からないということがあるので、私どもが公開質問をすることで、ぜひとも分かりやすく説明してほしいということだ。第一には行政不服審査法に基づく執行停止等は国民の権利を保障するもので、迅速にそれを決定するためのものだが、国は基地を造るので私人であるはずはない。この法律にのっとって物事を進めるのはおかしいのではないかということだけでも、国民の理解のしにくいところだ。なおかつ代執行手続きも取ると、国交相がある意味で審判とプレーヤーの両方を使い分けている説明が大変曖昧な形で今日まで来ているので、公開質問状を出すことによって多くの国民、県民が理解できるようにした。

 ―今後、国が代執行手続きを進めると月内にも高裁に提訴することが予想されるが、その場合知事自ら意見陳述をするか。

 知事 私は辺野古に基地を造らせないため、ありとあらゆる手段を講じていきたいと基本的に思っているが、裁判の進行状況もあるので竹下先生からお願いします。

 竹下勇夫弁護士 いま直裁にお答えするのは控えさせてほしい、検討しているという程度にさせてほしい。

 ―知事が勧告を拒否することで、次の段階では国が是正を「指示」してくるがこれにも従わないのか。

 知事 勧告に従わないとしたが、これからの手続きの進め方としては指示が出てくると思う。私自身も勧告を拒否することは、第三者委員会などで法的瑕疵(かし)が承認手続きの中にあるとなって精査した結果、その結論に至ったので、取り消し得るべき瑕疵があったので、適法な状況に戻したいということなので、指示があってもそういうことをベースに判断することになると思う。

 ―公開質問状についてだが、国が答える義務はないがそれでもあえて出した狙いと、国は丁寧に説明をすると繰り返しているが、国にどう対応してほしいか。

 知事 政府は国民、県民に対して自らが行っていることの理由や考え方を説明する責任があると考える。説明責任は行政の基本として情報公開法でも定められている。ましてや今回の場合は大変分かりにくい、ある意味で目くらましのような、法律とはこういう形で運用されるのかと国民に不信感をもたれるようなことになりかねない。分かりにくい状況だ。菅義偉官房長官もわが国は法治国家だと毎回の記者会見でおっしゃっているので、わが国の法治国家としての品位が疑われるだけではなく、自らが説明責任を果たすことができないことをしている、と認めることにならないようにしっかり説明する必要がある。今までの紋切り調の形で回答しては、国家権力を背景に、ただ問答無用で物事を進めていっているとなりかねない。今年前半で粛々というのは「県民からすると耐え難い言葉」だと話をして、言葉は引っ込めたが行動は粛々と強権的に前に進めている、何ら変わらないのが今日まで続いているので、国の説明責任をしっかり問うていかないといけないと思っている。

 ―冒頭発言の中で、警視庁の機動隊員が大量導入され、なりふりかまわぬ姿勢だと指摘したが、警視庁の大量導入は県警の要請に従って行ったと官房長官は説明している。県議会では県警本部長が県の部局同様に、議事者側に席を連ねている。県の意向を無視して、県警が警視庁に要請を行ったとの理解でいいか。

 知事 菅官房長官の説明は、私も新聞等で見た。他の当初の見方もあったので、交通整理がそれでできているかどうか分からないが、いずれにしても県と県警の関係は、これは他の都道府県でもそうだが、たとえば答弁権。そういったことに関しても他の部局とは答弁も調整しながらやるが、県警は私たちとそういった交渉は一切やらないのが今日までの状況だ。だから独自でもって議会での答弁もしている。これはたぶん他の都道府県でも一緒だと思う。また、人事権についてもやはり独自の人事権を持っている。こういったことからいっても、通常の部局とは違うというふうに思っている。ただ、沖縄県民全体の安心安全、そういったものを力を合わせてやるという意味では議会で一緒に答弁席にいるわけですから。目的みたいなものは共有しているのだと思うが、その具体的なことについては個別個別に、意見等を申し上げることがある場合には、申し上げていくということになろうかと思う。

 ―機動隊を大量投入したことについての感じ方は。

 知事 先ほど、粛々という言葉を久しぶりに使わせてもらったが、やはり理由のいかんに問わず、今代執行手続き等をやる中で、本来なら行政不服審査法で執行停止等もやって、いわゆる工事を着手するというようなこともやりながら、代執行手続きをまたやるというようなことなので、そういう中に警視庁から100人の警察官を投入するというのは、県警からの要請もあるかもしれないが、国全体の意思として辺野古に基地を造るという大きな前提の中で物事が進んでいると思っている。そういったものを見る沖縄県民の目というのは大変厳しいものを持っていると思う。むしろ言葉で粛々と言ったときも大きな反発があったが、このようなことを繰り返すとむしろ県民の理解を得るとか、あるいは溝が縮まるとか、いろんな意味で物事の前向きなものがあるかとか。そういったものに関して遮断して、そして強行に基地を造りあげていくというその姿勢が見えてくる。その意味から言ったら、憂うべき事態にならないか心配している。

 ―国は是正勧告の文書の中で、勧告の理由について、(承認の取り消しが)普天間飛行場周辺住民に対する危険性の継続につながるということ、米国との信頼関係に悪影響を及ぼし、外交防衛上の重大な損害が生じると説明している。これについて知事の反論は。

 知事 普天間危険性の除去がまず1番に挙げられている。それについては認識は一緒。言葉そのものには。そして前知事が埋め立て承認をしたときに、大変大きないわゆる担保として、5年以内の運用停止というようなものを、(前)知事は話した。それについては、首相と官房長官のやりますという言葉が担保であると、日本国の責任を持っているベスト2がこのようにやると言ってるから、それは信じて良いのではないかと話があった。けれども、去年の2月を起点としてということだが、それから約1年と8カ月くらい、全く手付かずの中で、それから去年の3、4月頃から、アメリカからはそんなこと聞いたこともない、日本政府から持ち出されたこともないというような状況で今日まで来ていることをみると、本当に日本政府が普天間の危険性除去について、普天間の住民に対して申し訳ないと、一刻も早く危険性除去をしなきゃならんということでやっているのか、大変疑問がある。

 そしてもうひとつ、危険性除去は辺野古が唯一ということになっている。私は原点は強制接収で、沖縄県民は自ら基地を提供したことはないと。そして自ら、ある意味で銃剣とブルドーザーで奪っておいて、老朽化したから、賞味期限切れになりつつあるので、いわゆるまたお前たちが土地を差し出せということで辺野古に決めていったこと等を考えると、むしろ、辺野古はこれから以降も最低10年かかり、場合によっては今の状況だと15年くらいかかるかもしれない。そうすると、10年、15年は普天間の固定化といわないのかどうか。10年15年くらいは何ら差し支えない、普天間住民の危険性となるのかどうか。これについて(政府から)明確な返事はない。集中協議でも、首相に質問した。本当に辺野古ができなければ、普天間は固定化できるのかという話をしたが、それ(返事)はなかった。強制接収が原点といった一つには、いわゆる普天間が老朽化したとか、危険性があるからといって、県内にそういう形で求めることを「唯一」という形でやるのはいかがなものかということも含めてだ。だから、普天間の危険性除去と辺野古の唯一というものはつながらない。他にもたくさんある。

 それから日米の外交の問題もあるが、私は日本国民全体で日本の安全保障は考えてもらいたい。沖縄一県に閉じ込めておくと、むしろ仮想敵国から日本の覚悟のほどが問われるのではないか。日本国民全体にそれを守る気概がないにもかかわらず、沖縄に押しつけることだけをしている日本という国の主体性。そういったことについても、周辺の国からすると、言い方は悪いかもしれないが、国としてどうなのか、他の国にくらべてどうなのかというような、民主主義という意味でも、自由と人権と平等という意味でも、あるいは本当の日本の国を守るという意味でも、日本の国のあり方はおかしいなと思っているのではないかなと思っている。

 ―公開質問状について。知事の考えは国の手続きが違法でないなら回答できるはずだと国を試しているのか。

 知事 先ほど申し上げた通りだ。大変分かりにくい。行政法学者約100人が「これは違法である」と。「私人としてはできない」と話しているし、なおかつ同じ内閣の一員である国交相がそれをジャッジするというようなことも、これは国と地方自治体という関係から言うとおかしいのではないのか、と言われている。そういう中で、官房長官は「法治国家だ」ということだけで問答無用で物事を進めているわけだから、私たちからこうして公開質問することでもっと分かりやすく行政法学者にも「違いますよ。あなた方が間違っているんですよ」というくらいの自信をもった説明をしなければ、いまのような形でごり押しをするような形にやっていくというのは大変私は大きな不信感、日本の国のあり方についても大きな不信感が出てくるのではないかというふうに思っている。

 なおかつそれに輪をかけて、執行停止をして承認の復活をして工事ができるようになったという状況において、さらに代執行で、代執行というのは本来、工事を止めてそれの結論が出るまで工事をしないというのが代執行手続きの大きな柱だと思う。それを執行停止をすることによって工事ができるようにしておいて、代執行は代執行で裁判の判決を仰ぐ。私たちが主張しているのは基地の問題もあるが、環境保全という意味でも大変大きな意味合いを持っているので、工事着手によってあの美しい、ジュゴンが住む、サンゴ礁までいろんな小動物などもいる中でそれを蹴散らして、一定期間工事をした中で判断を下すというのも、この法律の両方の趣旨を国は曲げてでもここに基地を造るというふうにやっているのではないか。(菅義偉官房長官は)粛々と言う言葉は引き下げたが、行動という意味ではもっと粛々になって強権的に動きが出てきたなという感じを持っている。

 ―自治体から国に公開質問状を出すのは極めて異例の対応だ。出さざるを得なくなった状況をどう受け止めているか。

 知事 この問題は大変大きな問題をはらんでいる。まずは地方自治という意味でも、今のようなやり方で本当に日本は憲法で保障されている地方自治をしっかり守りながら物事を進めているのか、というのが大きな論点の一つだ。もうひとつは日本の安全保障を担う場所だ。いわゆる今日までの(沖縄は国土の)0・6%、(在日米軍専用施設の割合は)73・8%。基地機能からいっても、完全に日本の安全保障は沖縄が担っている部分がたくさんある中でこういったことが行われている。これも国民全体で安全保障を考えてもらいたいという意味では、やはり公開質問をすることによって全国民にその意味合いを知らせてほしいということがある。

 そしてもうひとつは、沖縄の尊厳がかかっている。何かというと、先ほども言ったが、私たちは自ら差し出した基地はありませんと、強制接収でみんな取られたものなんですよ、という中で、今回辺野古の新基地ができると、160ヘクタールの国有地になる。今までの沖縄の基地は保革を乗り越えて、プライス勧告などにみられるように土地の買収を拒否することによって約7割方が民有地、行政有地でもって自らのある意味で意思決定が及ぶ基地だが、これから以降、新基地として、それも国有地に変わり、私たちはフェンスの外からただ声を上げるだけで、私たち沖縄県が北部の振興も含めて、観光立県としてどう生きていくのか、美しい海を守っていくためにどうすればいいのかという、こういったことも含めて、何ら手の出し切れないようなものができる状況が出てくるわけだから、私はこれは日本国民全体で考え、なおかつ県民にも分かりやすく説明してもらわないと、とても民主主義国家としての成り立ちとしておかしい。これははっきり申し上げたい。

 ―普通の質問では国は答えないと判断し、異例の手段をとったのか。

 知事 それはそれで国民がよく見て判断すると思う。グアムに飛んだり、いろんなことされた。中谷防衛相が同じ日に佐賀に行って、佐賀空港には米軍のオスプレイを配備しませんと。脅しなのか、沖縄の基地負担軽減のためにやってるのか何なのか、良く分からない。その1カ月ほど前にはCV22(オスプレイ)。沖縄の負担軽減に気を使うので横田に配備すると言っていたのに、それを受け入れ側の人は嘉手納にいるわけで、そして基地の訓練は沖縄も含んでやっていくと、また後になって話をしてくる。こういったような、実に私たちからすると子どもだましのやり方、目くらまし戦法でやってきている感じがするので、何にも説明をしないというのも、国民県民はそれを良く見る大きな視野を持っていると思うので、国には私たちは言うことは言って、国がどう対応するかは国の姿勢の問題なので、私から申し上げることはもうない。

 ―ただの質問状ではなく公開質問状にしたということは、国から回答があれば県民・国民に公表する考えがあるということか。

 知事 当然オープンでさせていただきたいと思っているし、さらにやりとりが必要であれば、私たちはオープンにして、やりとりもさせていただきたいくらいの気持ちで、この件については国民・県民がよく理解できるような状況の中で物事を進めていきたいと思っている。