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  • 臨床心理士ら多職種によるHIV感染者支援チームが宮古島で初発足
  • プライバシー配慮が求められる狭い離島でモデルケースとなりそう
  • 沖縄のHIV感染とエイズ患者の発生は増加傾向。離島の患者は約1割

 HIV感染者の治療や副作用への対応、精神的なサポートをしようと、沖縄県立宮古病院に「HIVチーム」が発足したことが7日、分かった。医師や看護師、薬剤師、臨床心理士ら多職種7人でつくり、県内では三つのエイズ治療拠点病院以外では初の試み。コミュニティーの狭さによってプライバシー配慮の重要性がより求められる離島でのモデルケースを目指す。(溝井洋輔)

HIV陽性者への服薬指導やチームの取り組みを紹介した県立宮古病院薬剤師の喜友名朝史さん(左奥)=7日午後、うるま市・県立中部病院

 拠点病院の医師や看護師、行政関係者らによる「沖縄HIV臨床カンファレンス」が7日、うるま市の県立中部病院であり、宮古病院の医師などが10月中旬に発足したチームの取り組みどを報告した。

 同院総合診療科の杉田周一医師は当初、院内でのHIV陽性者の治療に当たり、注射の際に感染を必要以上に懸念するなど戸惑いもあったが、拠点病院と相談しながら対策をつくってきた経緯を紹介。「(他人に感染を知られる恐れなど)社会的偏見に患者が苦んでいることを知った」と自らの学びも語った。

 杉田医師はさらに「患者の感情や家族の問題などを多職種で共有して連携したい。離島という環境を逆に強みにして新しいケアモデルとなる可能性がある」と述べ、正しい知識やプライバシー配慮を院内でさらに徹底したいとした。

 県内の中核拠点病院は琉球大学医学部付属病院。中部病院と南部医療センター・こども医療センターが拠点病院だ。宮古病院のチームは、この3病院や地域の医療機関と連携。院内では月2回の定例会で情報共有し、感染者用の問診票を作るなど取り組んでいる。

 琉大病院第一内科の健山正男准教授は宮古病院の取り組みを歓迎。「故郷の離島に帰りたくても差別や偏見、医療の問題によって難しい患者もいる。医療者は患者が望む場所で医療を提供する義務があり、それにこたえたことは素晴らしい」と話した。

 県内のHIV感染者とエイズ患者の新規発生数は増加傾向にあり、県によると2014年は計33人で最多。離島での患者数は県全体の1割程度とみられる。

 抗HIV薬の進歩によって近年は感染者の長期生存が可能となっている。高齢者や離島に住む患者への適切な医療提供という課題に対応した宮古病院の取り組みは、他地域にも影響を与えそうだ。