「辺野古の埋め立てはすでに前知事が承認したのだから、沖縄の理解はもうそんなに重要ではない。協力は期待しない。黙認してくれれば十分だ」。 

市民を排除する県警機動隊ら=11月5日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前

 米政府高官に辺野古の新基地建設をめぐり日本政府と対峙(たいじ)する翁長県政について見解を聞くと、そんな答えが返ってきた。 

 「沖縄は米海兵隊という組織を維持していくうえで重要な拠点であり続ける」と真顔で強調し、本土から辺野古に100人余りの機動隊が投入されたことについては、「積極的に動いてくれている。安倍政権はわれわれの最も良き理解者だ」と評価した。

 薄く笑顔を浮かべた表情は、まるで沖縄の行政は日本政府を介する形で米軍の掌握下にあるのだと物語っているように映った。 

 こうした米側の「本音」を聞いていると、普天間の辺野古移設とは「普天間の危険性の除去」だけではなく、「米海兵隊基地の沖縄固定化」という米軍の思惑が見えてくる。 

 沖縄のこうした現状は、米紙ニューヨーク・タイムズが社説で、人権を尊ぶ民主主義よりも軍事を優先させる日米両政府は「沖縄の意思を無視している」と厳しく批判するほどあからさまだ。 

 こうした両政府への強力なブレーキ役を担ってきたのが米議会だったのだが、すっかり変容してしまった。

 「実行できない計画は維持する意味がない」と辺野古移設に反対してきた米有力議員に、若い機動隊が高齢のデモ参加者に対し実力行使を始めたと写真を見せながら説明した。 

 するとその議員は関心すら示さず、「これまで沖縄の反対に遭いながらも計画は続いてきた。安倍政権には必ず実行するのだという強い意思がある。計画は進んでいくだろう」と呟(つぶや)いた。

 米軍の案内で夏に在沖基地を視察したある議員に同じ問いを向けると、「私が会った沖縄の人々はみな、基地や米軍を歓迎していた。反対する人は見なかった」と穏やかな声で語り、「将来、新基地はアジア太平洋地域で重要な役割を担う」とフェンスの内側から見た論理を展開した。

 沖縄で生活を営む人々の視点で普天間移設問題を捉えていた沖縄の良き理解者だった議員たちは皆、米議会から姿を消してしまった。

 厳しい闘いだが、われわれはこうした状況も変える努力をせねばならない。

 普天間の閉鎖と辺野古の新基地建設の中止を願う沖縄の想いを理解してもらうには、まず普天間と辺野古の現状を住民の視点で知ってもらう必要がある。

 翁長雄志知事が普天間や辺野古で記者会見し、現場から沖縄の現状を世界に発信する努力をしたり、米議員や米政府関係者を沖縄に招いて住民の視点で沖縄を知る場を提供する取り組みも必要だろう。

 海兵隊の沖縄固定化を避けるには、日米地位協定を盾に「日本の国内問題」と逃げる米政府に当事者としての責任を厳しく追及する必要がある。(平安名純代・米国特約記者)