韓国・平昌冬季五輪が9日開幕する。冬季五輪としては最多の92カ国・地域から2900人を超える選手が参加し、25日まで7競技102種目で頂点を競う。

 日本代表選手は今大会、海外での冬季五輪で最多となる124人が参加。内訳は女子72人、男子52人で、ソチ大会同様に女子が多数を占め、金メダル候補のスピードスケート小平奈緒選手ら有力選手も多い。日本オリンピック委員会(JOC)は、前回ソチ大会を上回るメダル9個以上を目標に掲げており、期待が高まる。

 ただ、これほど政治利用が懸念された五輪は異例だ。

 北朝鮮との「南北融和」を進める韓国の文在寅大統領は、アイスホッケー女子の合同チーム結成を表明。国際オリンピック委員会(IOC)はこれを許可したが、開催直前の変更という事態に、チーム監督はじめ韓国世論の7割も反対している。

 北朝鮮の核・ミサイル開発阻止を訴える日米両政府からは、北朝鮮の参加に異論の声もあがっていた。五輪直前に開催された安倍晋三首相とペンス米副大統領の会談では、改めて北朝鮮への制裁強化を確認。安倍首相と文大統領は、開会式に先立ち会談し、制裁へ日米韓の連携を確認する予定だ。

 これに対し北朝鮮は、五輪開幕前日の8日に軍事パレードを実施。五輪閉幕後には、こうした北朝鮮の動きをけん制する形で、米韓合同軍事演習が検討されている。

 日米韓と北朝鮮がそれぞれ政治的綱引きを活発化させており、五輪憲章にもある「平和の祭典」の意義を損ないかねない。

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 今大会の開催前には、前ソチ大会でのロシアによる国ぐるみドーピング疑惑が発覚した。ロシアは選手団派遣が禁じられ、過去にドーピング違反がないなどの条件を満たす選手は個人資格で参加する。

 勝利至上主義がもたらした不正で、フェアプレーをうたう五輪精神にもとる。ロシアの選手たちは、その犠牲になった。アスリートの人権を侵害し、健康を害する事態が二度と起きないよう、国際社会の監視が必要だ。

 8日、江陵の選手村では北朝鮮選手団が入村式に参加。北朝鮮の応援団が民謡や踊りを披露すると、韓国の参加者が共に歌い踊る様子が見られた。応援団を派遣する在日本朝鮮人総連合会関係者は「南北の選手がスポーツを通じ、打ち解けている姿に気持ちが高ぶっている」と喜ぶ。

 五輪をきっかけに南北の草の根の交流が広がってほしい。

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 8日は一部競技が先行スタートし、スキージャンプ男子ノーマルヒル個人予選では、冬季五輪で史上最多8度目の出場となる葛西紀明選手が、順調に予選を通過した。

 世界中が注目する五輪への参加は、アスリートにとっても特別だという。日ごろの厳しい練習成果を披露する舞台は、時に予期せぬドラマが生まれ、見る者に勝敗以上の感動を与えてきた。

 今大会も選手一人一人の活躍に期待したい。