アメリカの田舎町に、突然現れた3枚の真っ赤な広告。それは娘を惨殺された母親が、進まぬ捜査に対しての憤慨を警察にぶつけたものだった。被害者のはずの母親は同情を得るどころか、敬愛の対象である警察署長をおとしめたとして孤立する。

「スリー・ビルボード」の一場面

 この映画、母親の熱情に動かされて奮起した警察が犯人を見事逮捕、などという単純なサスペンスでは終わらない。愛する者を守りきれなかった激しい後悔と、自己への行き場のない怒りは暴走し想定外の展開となる。

 極力、怒りを封印して生きてきた身には偽善を暴かれたようで苦いものがこみあげてくるが、主演のフランシス・マクドーマンドの存在にはひれ伏すしかない。数々のアカデミー賞ノミネートは脇に置いても、出会えたことに感謝する1本。(スターシアターズ・榮慶子)

 ◇シネマQで上映中