38年前、この世に生を受けて数日後、両親の「永久に美しくあれ」という無謀な挑戦を受け、「久美子」という名を背負わされた。「名よ、体を現せ」。親の願いは当然だが、並行して「名前負け」という言葉があることを忘れてはいけないと思う…。

「わたしは、幸福(フェリシテ)」の一場面

 この映画は、フランス語で「幸福(フェリシテ)」と名付けられた女性の物語だ。舞台はコンゴ民主共和国の首都キンシャサ。女手ひとつで育て上げた息子が交通事故で重傷を負い、フェリシテは激しく動揺した。治安の悪い街で生き抜くため、意地と歌声を武器に闘ってきたけれど、息子を救うには膨大な手術費が必要。必死で守りぬいてきた暮らしも信念も捨て、お金を乞わなければならない。

 果たしてフェリシテは、崩れ落ちそうな自分を立て直し「わたしは、幸福」と胸を張って言い切れるのか。(桜坂劇場・下地久美子)

 ◇桜坂劇場で上映中