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  • 沖縄の米軍基地を引き取る運動が九州でも芽吹きつつある
  • 過重負担にあえぐ沖縄を思い、長崎・熊本・福岡の市民が連携
  • 「私の地元に来ないで、という論理を克服したい」と話す

 長く沖縄に押し付けてきた過重な米軍基地を本土に引き取り、平等な負担を目指す新たな市民運動が、九州各地で芽吹きつつある。賛同する長崎と熊本、福岡の県民16人が5日、福岡市に集まり、名護市辺野古への新基地建設問題が切迫する中で「私の地元には来ないで、という論理を克服したい」「移設できる広い場所はある」と思いを語った。連携を深めるため「九州ネットワーク」の結成を決め、今後の活動について意見を交わした。

引き取り運動の進め方について意見を交わす(右から)歌野さん、里村さん、永好さん。会合には計16人が参加した=5日、福岡市

 集いは9月に設立された「本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会」(里村和歌子世話人)が催した。

 参加者のうち長崎県新上五島町で農業を営む歌野敬さん(64)は長年、安保廃棄や反原発の運動を続けてきたが、今夏に総合雑誌で沖縄県民の寄稿を読み胸を突かれた。「『基地はどこにもいらない』と言う主語になれるのは日本人(ヤマトンチュ)だけ」「県外移設はタブー視されてきた」と書かれていたからだ。「安保に反対しながら安住してきた自分の立場を省み、在沖基地の偏在解消を最優先で取り組むべきだと考えるようになった」と話す。

 さっそく10月、今春に引き取り運動を始めた大阪府民に会い、府内の候補地を複数記したビラを街頭で配る準備中だと聞いた。長崎や大分、佐賀、熊本、福岡の知人約30人に引き取り運動を紹介し、賛同を呼び掛けた。5日には、このうち2人が足を運んだ。

 会合には熊本市の自営業永好和夫さん(59)も参加し「本土の平和と繁栄は沖縄の犠牲の上に成り立ってきた」「沖縄の過重な米軍基地を自分自身の問題として捉える中で、本土に引き取る必要を強く感じた。具体的な移設先を早く考えたい」と思いを語った。

 10年前から著書で在沖米軍基地の本土移設を訴えてきた野村浩也・広島修道大学教授は「日本人は引き取り運動によって、基地の押し付けという沖縄人への差別をやめられる。自らの足元で基地をあらためて撤去すれば安保も廃棄可能だ。日本人自身の尊厳を取り戻せる運動であり、今後も広がるだろう」と予測する。