名護市辺野古の新基地建設をめぐり、国が出した埋め立て承認取り消しの是正指示に対して、11日に拒否を表明した翁長雄志知事の会見は以下の通り。

辺野古新基地建設にかかわる埋め立て承認取消処分の取り消しについて会見を行う翁長雄志知事=11日午後4時過ぎ、沖縄県庁

 【冒頭発表】

 本日、去る11月9日付で、地方自治法第245条の8第2項の規定により国土交通大臣が行った「辺野古新基地建設に係る公有水面埋立承認取消処分を取り消せ」との指示について、これに従わない旨の文書を、同大臣あて発送することといたしました。

 私は知事に就任して以来、政府に対して、「基地は沖縄に置いておけばいい」「辺野古が唯一の解決策である」といった固定観念を捨て去り、新基地建設に反対する多くの沖縄県民の声に耳を傾け、移設問題に向き合っていただきたいと求めてまいりました。

 県としては、本件公有水面埋立承認については、本年7月の第三者委員会の検証結果報告書を受けてこれを精査した結果、取り消し得べき瑕疵があるものと認められたことから、取り消しを行ったものであります。

 是正の指示は、改正前の地方自治法でいう職務執行命令に相当するものであり、国が地方公共団体に行う関与の方法として最も厳しいものです。承認取り消しに対する審査請求、審査請求手続きにおける執行停止決定及び代執行手続きへの移行といった一連の政府の対応は、団体自治、住民自治といった地方自治の本旨に照らしても、極めて不当であり、今日の事態に至ったことは誠に残念であります。

 県の承認取り消しは適法であり、かつ正当であります。私は今後も、辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考えであります。

 県民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

 【記者との質疑】

 記者 一連の手続きで、是正指示に対して知事の方から拒否する手続きを取る。これまでの流れで裁判を回避するという面においては、一番最後の手続きになる。それを今回提出することで、県として法廷闘争に入るということになると思うが、裁判についての思いと、裁判で何を訴えるか。

 知事 是正の指示の拒否については先ほどのコメントの中でもありました通り、今年7月の第三者委員会の判断を受けて、私どもも慎重に審査をしましたところ、法律的な瑕疵(かし)があるという確信の中で、沖縄県の正当な主張をさせてもらいたいということであった。勧告があって、その時もそのような思いを伝えたが、今回指示が出たが、私どものある意味で不動のそれに対する価値観、正当性は変わってないので、その意味で指示は拒否をするということになった。 それを受けて、代執行というようなことになる中で何を訴えたいかということであるが、たくさんあるが、おおむねの話をさせていただくと、やはり国の考えているようなものに対しては、一つ一つ私どもからすると反論したいところがある。基地のあり方、あるいは環境保全のずさんさ、沖縄県の置かれている位置、そういったこと等を一つ一つしっかりと伝えることで、多くの県民や国民の理解を得ていきたい。

 記者 裁判の中で今後、県として意見陳述の機会を求めるか。求めるなら、証人として、どういった方を想定しているか。知事自身も証言する思いがあるか。

 知事 意見陳述をするかということは、前回の記者会見でもご質問があったが、弁護士の皆さん方と今相談をしているところ。その証人がどうだということは、私もそう詳しくないので、松永弁護士に一般論としてこういったものについての認識をお願いしたい。

 弁護士 意県陳述と尋問というのを両方一緒にしている感があるが、意見陳述は尋問ではなくて、法廷で何かを訴えると。それはまだ裁判がいつ起きるか分からないし、どういう日程で起きるのかも分からない。裁判が議会にかかるような日程を選んで裁判を起こされると、出頭できるかどうかという問題があるが、知事がもし出頭できるような期日であれば、それはやはり意見は陳述していただくことを弁護士としてはお願いすることになるという考え方だ。

 県としては、仮に裁判が起きるとすれば、なぜ取り消したのかということは、きちんと訴えていかなければならないから、それは当然、知事に法廷で述べていただくことを求めることになるでしょうし、それは証人もしかるべく検討していくことになるという風に考える。

 記者 各分野の専門家とかは。

 弁護士 そういうことを検討することになると思う。

 記者 安倍総理が昨日の衆院予算委員会で赤嶺政賢衆院議員の質問に、承認取り消しは違法で、著しく公益を害すると。この問題の解決を図るには最終的に司法判断が得られる代執行の手続きに着手することが適当な手段だと述べた。政権トップが自らの正当性を主張する答弁に対する受け止めは。

 知事 安倍総理とも、菅官房長官ともそうだが、集中協議含め、何回かお会いをして、そのたびに県民に寄り添うと、それから負担軽減に取り組むというような話をしているが、最近の国の強権力というか、ここまでやるか、ということをやりながら、今回、安倍総理がそのような形で司法判断を仰ぐというようなことを発言をし、代執行を正当化しようとしているのは、私は県民の声に耳を傾けているとか、そういうことにはならない。こういった発信をすること自体が、やはり今日の安倍政権のあり方、あるいは日本の民主主義のあり方みたいなものに大変、大きな疑問を感じた。

 今回この指示を私どもに回答を求めることについて3日しか時間をとってないわけです。報道によると、是正勧告と内容は同じなので、3日もあれば判断できると判断した、というようなことだが、私どもはその執行停止の場合でも、弁明書と意見書は同じ内容のものも、たくさんやったが、数日ですぐ執行停止になった。ところが審査判断はずっと延ばす形で工事が着工できる状況にしておいて、今回の指示は、それはそれで私どもも準備万端整えているが、3日あれば十分などという発言が出てくること自体、やはり沖縄に対しての思いが見えてくるようで、安倍総理がそういった形で発言すること、そのものが、私どもからすると根底からあり方が問われるのではないかなと思っている。

 記者 石井国交相が、昨日の記者会見で沖縄県が出した公開質問状について、法律上に基づくものではなく回答を行う義務はないと発言した。これについての受け止めは。

 知事 本当に沖縄県の歴史的な意味合い、日米安全保障体制の維持、それを大きく担っている沖縄県の立場、先ほど申し上げた通り、安倍総理も菅官房長官も、県民に寄り添い県民の声を聞いて、基地の負担軽減をやっていきたいというような話だ。そういう中で今回の法律的な問題は、当然、私どもも発言をし、特に菅官房長官が発言をしているが、多くの行政学者が93名、あるいは100名以上とも言われていますけど、声明を出した93名の行政法学者が、今回の公有水面埋め立て法、地方自治法等についての行政不服審査法も含めて、おかしいというようなことだ。

 私どもは当事者なので、その意味合いはよく分かりますが、県民と国民からすると、ほとんど理解がしにくい法律的な問題が2本立てで、わかりにくいことだと思う。ですから私どもは整理をして、この件とこの件は国の方でしっかりと説明をしてもらいたいと。それが県民に対しての礼儀でもあるだろうし、県民や国民の理解を広げていってやれば前に進む、と総理もいろんな機会で言っているわけですから、県民や国民の理解が進むように、とても分かりやすく、この意味合いを説明する必要性があるのではないかと思っている。

 記者 冒頭、知事が地方自治の本旨に照らして極めて不当だと言ったが、安全保障は一義的には国の専権事項で、聖域とみなされる部分があるが、知事としては安全保障の分野においても地方自治が重視されなくてはならないという立場か。

 知事 国連でも、人権、自由、平等、民主主義、そういったものが理解できない国が日米安保体制という中で、アジアや世界の共通の価値観をもつものと連帯することができるのか、というような話をした。沖縄の基地問題はまさしく人権問題で、地方自治というのも基本的には基本的人権を尊重するというのが一番大きな眼目だ。人権を守る地方自治、それから憲法でも国と地方が対等だというような形で規定されている中で、その安全保障をかかげて、その中で地方はだまっとれ、ということになったら、ある意味で国民一人一人の人権そのものをそういった意味合いから無視をする形になると思う。

 だから、地方自治を大切にすることは国のあり方も、地方の立場からいろいろ意見を言う中で、日本という国のかじ取りを多くの国民の声、県民の声に耳を傾けながら前に進めていくのが当たり前であって、何も言うなと問答無用だというような形で、安全保障の前で私たちを切り捨てようとするようなものは、本当の意味での日本国の民主主義のあり方ではないという風に思う。

 記者 文書自体はすでに発送したのか、知事のあすからの日程もあると思うが、13日までが期限という中で、昨日文書が届いてきょうの回答ということで言うと、これまでの県のしっかり考えて、という中では、1日後というのは珍しい対応と思うが、どう判断したか。

 土木建築部長 従わないという文書はこの会見が終わった後、発送する。金曜日までには到着するということで準備している。

 記者 前から公平な第三者の判断を仰ぎたいという風に言っていたが、今回指示をしたことで法廷闘争に入ることになるが、知事として歓迎するべきことと考えるか。

 知事 歓迎すべきものではないが、私どもは辺野古が唯一だとか、自ら差し出したことのない基地を新たに海上に造らすなどということはとんでもない話だという風に思っていて、もともとがこういう話はあってはならないことだが、あった中で、国が物事を進めようとする時に、いわゆる行政不服審査法等で執行停止をして審査請求の中で判断を仰ぐというようなこともやっているわけだが、代執行ということもそれに併せて、執行停止をさせておいて、本来ならこの代執行も迅速に物事を進めるためにあるはずだが、その意味からすると、執行停止をして工事は着手をしておいて、こういったものまで進めていくというのは、あり方としてはおかしな話。しかし、法律というのは厳然としてあるわけですから、そういう意味では私どもも代執行の方が判断を仰ぐという意味では、いいのではないかという風には思っているが、これは歓迎するとかそういった意味ではない。

 弁護士 補足するが、代執行が適正だと考えているわけではない。われわれは地方自治法第11章の手続きで解決すべきだという風に申し上げてきたが、知事の最初のコメントにあった通り、代執行は一番強権的な手続き。地方分権の時の地方自治法の改正で、このような一方が優越的で一方に対して非常に強権的な手続きしかないのはおかしいということで、国地方係争処理委員会が設けられた。

 それで、今行われていることを是正の指示というと行政法学者の先生から烈火のごとく怒られるのですが、是正の指示というのは245条の7にある。是正の指示に対して県に不服がある場合には国地方係争処理委員会に申し立てができる。その結果に不服があれば、高等裁判所で司法審査を仰ぐことができる。是正の指示を受けて、県がそれでも国地方係争処理委員会に何も対応しないで、放置しておけば、そこで初めて代執行ができるというもので、代執行というのは非常に強権的、一方が優越で一方に対して指示をする。そういう制度しかないのがおかしいということで、地方分権の時に地方自治法が改正されたのに、代執行をやってきたということ自体は、適正ではないという風に考えている。

 記者 辺野古では大浦湾にボーリング調査に向けて台船が来ている。これまでも表明しているが、今の辺野古の工事、国はどういう対応をするべきか。

 知事 執行停止の手続きがありまして、その中で県からすると、工事を開始するならば(県と国の)事前協議に応じるべきだと話しをしていたが、こういった言葉尻を取って事前協議はしないといったりして物事を進めている。(国は)全ての法的解釈を分かりにくく、強権的に物事を進めており、憤りを覚える。だがこの点については、10月28日付で、執行停止に伴い(埋め立て承認の際の)留意事項に基づく事前協議を行う旨を通知して、11月2日付で工事着手に対する行政指導もしている。これらについて防衛局から回答文書は9日に受け取って、精査をして、記者会見から推測される部分はあるが、精査をしてから答えた方が良いかと思う。

 記者 昨日の衆院閉会中審査で赤嶺衆院議員の質問に対して、官房長官が久辺三区への直接の交付金の交付について、ゲート前の反対運動が騒がしいので、それに対する迷惑料的な位置づけだと説明したが、そうした答弁の受け止めを。

 知事 国権の最高の場所でこういった解釈がなされること自体がこの国の民主主義の危うさを示している。先ほどの法的解釈もみんなそうだが、ある意味で表現の自由、置かれている立場の方々が正当に多くの方に訴えようとしているのに、そういった解釈の中から、問答無用の姿勢を打ち出すこと自体が憂慮されるべきだ。基地問題は我々が多く抱えているが、これからの地方自治や表現の自由からすると官房長官の発言はとても納得いくようなものではない。最初はそういう話をしていなかったが、国民から非難をされると、そこまで行き着くと、県民の分断を図るような、お金を出すこと自体が分断だが、その理由付けも、基地を絶対に造らせない県民と、地元にあって悩んでいる人たちを分断する発言を堂々と国会でいうこと自体が、日本の政治の堕落ではないかと強く思いますね。

 記者 今日の閉会中審査でも安倍首相は普天間の危険性除去を繰り返している。県側は普天間の5年以内の運用停止の工程表、ロードマップを作成する話も出ているが、それについて状況を説明していただきたい。

 知事 5年以内の運用停止は何回も申し上げているが、仲井真前知事が4項目を首相と官房長官に提示して、3年ほど前の公約を破って埋め立て承認に至った大きな理由の1つであります。ですから、こういったものを考えると、いわゆる5年以内の運用停止はずっと仲井真さんも声を上げて言ってきたので、私は大変重要な事だと思う。その後の経緯からいうと、この件にはなかなか触れない状況があって、基地負担軽減部会でも一定程度の発言はあったが、だんだん発言がなくなり、しびれを切らして去年の中頃に起点はいつかという話となり、いろんな閣僚が別々の話をしていたが、統一見解として去年の2月が起点となった。去年2月はまだ知事は私ではないので、その間のいろんな動き、米との交渉などやるべきことがあるが、それがなされた経緯がない。

 私が当選すると、中谷防衛相は確か今年の1月か2月までは運用停止の定義について、運用停止の定義は「普天間で飛行機が飛ばない状態」だといったが、3月ごろに幻想は抱かせてはいけないと、今年ひっくり返した。国の迷走は集中協議でもみんなその話を出すが、明確な答えは全くございませんでした。ですからここに至って、中谷防衛相が(運用停止は)辺野古受け入れが前提との認識を示しましたが、いつそう決めたのか。今度の記者会見でそのように思って、昨日の記者会見で(辺野古受け入れが)前提との認識を示した。その辺もはっきりしないままきている。

 私たちはその間、日本政府が触らない状況なので安慶田副知事が公開質問状ということで要所要所にいって意見を述べて話を聞いてきた。こうしてみると私は埋め立て承認に至った4項目の一番重要な部分(5年以内の運用停止)はむしろ空手形と理解をしながら4項目に入れたのではと。米とも交渉していないところを見ると、今の状況からすると、私どもはこれからも5年以内の運用停止をお願いして県の考えも申し上げたいが、手形の行く末が、前知事が(承認の)担保だといったが、担保がよく分からず宙に浮いている。日本の安全保障がこういう議論をされる(こと)自体が、先ほどの質問にも答えたが、日本の政治の迷走、主体性のなさ、米との関係は国民もよく分からない状況が見えてきた。私ども沖縄県民の命運を決するような新辺野古基地のものの中で、あやふやな内容のはっきりしないものを交渉するのは大変残念だなと、無念な気持ちもあるということでございます。

 記者 読み上げ文で「今日の事態に至ったのは誠に残念だ」と。県は第三者による判断を求めてきた一方で、今日の事態を残念だと評価する背景は? 訴訟に入る前に本来ならば話し合いで解決するべきだったという意味なのか。

 知事 今までのもろもろの答えに関係するが、例えば集中協議はお互いが歩み寄る事だったと思うが、結果的に歩み寄ることはなかった。ただ私たちはいろんな思いをそれぞれの担当大臣に思いをぶつけた。沖縄の置かれている環境、私たちの考え。それに答えるものがなかった。権力を持っている人は沈黙でもって通り過ぎることができる。私たちは言葉の限りを尽くして物事を申し上げるが、いわゆる国家権力で発言をせずに通り過ぎると強く感じる。そして沖縄の歴史の話をしても、私はわかりませんと。国の安全保障を預かるトップの人がそういう発言をすることが、私は「魂の飢餓感」という言葉を使って、一つ一つの問題の解決には、寄り添う気持ちも含めて政治の反省を含めて、あるべきものがあったはずだが、残念ながら地方自治という意味でも県民1人1人の人権にもまったく配慮せず、法律的な闘争に入るのが極めて誠に遺憾であると。そういう意味が、すべてではないが、この部分は間違いなくありますよ、ということで話しをさせていただいた。

 記者 先ほどの質問に知事から答えがなかったので質問をさせてほしい。今回の指示は期限が13日。受理の翌日の今日に表明の会見しているのは、知事の口から読み上げられたような主張を直接訴えたかったということか。13日を待たずに今日で発表したのはなぜか。

 知事 思いはいつでもそういう思いを持っているが、明日から私は台湾に行くのでですね、その日程等をにらみながら。一昨日くらいで判断しないといけないわけですから、こういったものを踏まえてです。今おっしゃったような気持ちはございますが、それで決めた日にちではなく、それ以外の日程とかを含めて決めていった。

 記者 弁護士から、ぜひ法廷での意見陳述を、とあったが知事の決意を。

 知事 県の考え方、正当性、県民の気持ちを伝える意味で、新辺野古基地を造らせないという意味では、ありとあらゆる手段とも言っているし、法律的な相談をしている弁護士の皆さんから指導があると思いますが、知事が意見陳述をした方がより良いとなれば、私からするとそういった場所が与えられれば全力を挙げてやっていきたいと思っている。