辺野古新基地建設をめぐり埋め立て承認の取り消しを撤回するよう求めた国土交通相の指示に対し、翁長雄志知事は拒否すると正式表明した。

 地方自治法に基づく国の「代執行」手続きで、翁長知事が勧告に続き指示を拒否したことから、国は県を来週にも福岡高裁那覇支部に提訴する。県と国は法廷闘争に入る。

 翁長知事が埋め立て承認を取り消して以来、国の対抗措置を振り返ると、法の趣旨をねじ曲げており、とうてい納得できない。

 翁長知事の埋め立て承認取り消しに対し、防衛省沖縄防衛局は行政不服審査法に基づき国交相に審査請求と執行停止を申し立てた。同法は「国民の権利利益の救済を図る」のが目的である。米軍に提供する新基地を造ろうとする防衛局が「私人」のはずがない。行政法学者ら100人近くが審査請求・執行停止申し立ては「不適法」で、「法治国家」にもとると指摘していることからも分かる。

 国交相は執行停止を認めた。同じ国の行政機関である身内の国交省が審査するから当然である。国交相は新基地建設の工事が継続できる状態にした上で、さらに代執行の手続きをとった。代執行では本来、判決が出るまで工事をすることができないが、私人と国の二つの立場を都合良く使い分け、工事の既成事実を積み上げる考えである。

 翁長知事はこれらの問題で石井啓一国交相に公開質問状を出している。回答期限は13日だ。国の対抗措置に正当性があるのかどうか、根幹に関わる。石井氏が回答しないのなら、正当性がないことを自ら認めることになることを覚悟しなければならない。

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 安倍晋三首相らは基地問題で「県民に寄り添う」「負担軽減に取り組む」などと耳当たりの良い言葉を使う。

 だが、実際は問答無用の強権的な姿勢がむき出しだ。民主主義の国で最も尊重されなければならない選挙で、県内では昨年、名護市、県知事、衆院のすべてで新基地建設に反対する候補が勝利したにもかかわらず、民意に一切耳を傾けることをしない。

 新基地は普天間飛行場にはない軍港機能や弾薬庫を備える。周辺の米軍基地と一体的に運用され、沖縄本島北部の軍事要塞(ようさい)化である。負担軽減にならないのは明らかだ。

 佐賀空港のオスプレイの訓練取り下げに見られるように翁長知事は沖縄と他の都道府県との不平等な扱いを「いじめ」に例えたことがある。

 参院予算委員会の閉会中審査でも福島瑞穂氏(社民)が「沖縄いじめ」と強調した上で、「嫌だ、嫌だ、嫌だと言っているのに、なぜ強行するのか」とただした。「沖縄差別」というほかない。

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 米政府は基地問題で県が要請するたびに、日本の国内問題と逃げるが、基地を使用するまさに当事者である。

 辺野古では陸で海で市民と警備当局が衝突している。警視庁から100人規模の機動隊が派遣され、力で市民をねじ伏せようとしている。

 不測の事態が起きかねない水位に達していることを日米両政府は肝に銘じるべきだ。