名護市辺野古の新基地建設をめぐり、沖縄防衛局は12日午後、海底地盤の強度などを調べるボーリング(掘削)調査を再開した。台風接近を理由に中断した7月以降、4カ月半ぶり。

 中断の最中には、県と政府の集中協議が開かれたが形式だけに終わり、埋め立て承認取り消しをめぐる双方の対立は深刻さを増している。そんな中での掘削作業再開は、県や県民に対して「有無を言わせない」という政府のメッセージである。

 掘削前日に開かれた参院予算委員会の閉会中審査でも安倍晋三首相は「普天間の状況を放っておくのは政治の責任の放棄」と新基地建設作業を強行する決意を示した。

 しかし新基地建設が普天間の危険性除去とバーターなら、少なくとも完成まで数年から十数年間危険を固定することになる。翁長雄志知事が指摘するその矛盾に、安倍首相は答えていない。

 建設の事前調査である掘削着手からすでに1年が過ぎた。調査は24地点を計画し昨年11月末に終了予定だったが、5地点を残し中断。建設に反対する市民の強い抗議活動によって、作業は年単位で遅れているのである。

 掘削再開に関して菅義偉官房長官は「作業の安全に十分注意する」と述べたが、懸念されるのは作業の安全だけではない。海や陸での「過剰警備」により、抗議に参加する市民のけがが絶えない。

 政府は、作業を強行すればするほど市民の安全を脅かしている実態を直視すべきである。

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 辺野古の掘削をめぐっては11年前に大きな転機があった。2004年9月、当時の那覇防衛施設局(現沖縄防衛局)が旧建設計画のボーリング調査の着手を発表した。

 しかし抗議活動に阻まれて調査は進まず約1年後、施設局は掘削のため海上に設置していた「やぐら」を全て撤去した。

 調査着手の発表1カ月前に米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落する事故が発生しており、政府は強い意志を持って移設作業を進めた。それなのに中断を余儀なくされた背景に、市民の抗議があったことは言うまでもない。

 当時の施設局はやぐら撤去の理由を「台風シーズンのため」と発表したが、実際には作業をめぐり、けが人が続出しかねない状況に対して小泉政権が当然の配慮をしたとみられている。

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 しかし安倍政権の下では、警備も住民を排除するための「暴力」へと変質している。その結果、政府が強硬姿勢を貫くほど新基地建設の最前線で衝突・混乱が激化している。

 朝日新聞が10月実施した世論調査では49%が安倍政権の埋め立て工事開始を「評価しない」と回答、「評価する」の33%を上回った。県や、県民の意見に耳を貸そうとしない政府への批判である。

 沖縄の大多数の声を無視し、権力をむき出しにして工事を強行するやり方は、法治国家にあるまじき愚行だ。まず工事を中断し、話し合う姿勢をみせるべきだ。