文字は人類最大の発明の一つ。音だけで伝わっていた言葉が、形を持つことで地域や時代を超え広がることが可能になった。それが文明の発展に大きく寄与したとされている

▼文字を記す方法で、最も息が長く、今も現役なのは筆と紙による「書」だろう。その書に魅せられた県内の書家が会派を超え一堂に集った「木筆會(かい)」の第40回書道展が那覇市民ギャラリーで、11日まで開催中だ

▼展示されているのは琉球王府編纂(へんさん)の歌謡集「おもろさうし」や琉歌、琉球漢詩、宮古の「漲水ぬクイチャー」の歌詞など。私たちの祖先が残し、伝えてきた多種多彩な183の言葉が並ぶ

▼やはり印象深いのは「うちなーぐち」で書かれた黄金(くがに)言葉(くとぅば)の数々。例えば「命果報(ぬちがふう)どぅ孵(しでぃ)果報」。線の強弱や墨の濃淡から、書き手の思いがにじみ出る。どの書も、じっと見つめていると文字から声が聞こえてきそう

▼「うちなーぐち」の書には、活字とも、ペンや鉛筆の手書きとも違う臨場感がある。先人たちが手にしたのと同様に、筆と紙という文房具で、文字が書かれているから、そう感じるのだろうか

▼会場に掲示された滋味あふれる作品を見ていて、遅ればせながら気付いた。書の最大の魅力は文字通り「書」くことにあるはず。16日は旧正。新正月ではできなかった書き初めに、うちなーぐちで挑戦してみよう。(玉城淳)