沖縄のサトウキビの魅力を国内外に伝えようと、自家製黒糖を使ってチョコレート作りに取り組む「農家兼菓子職人」たちがいる。北谷町美浜のアメリカンビレッジにある「TIMELESS CHOCOLATE(タイムレスチョコレート)」ではキビの栽培から黒糖精製まで一貫して手掛け、その魅力をチョコレートで表現。現在、カカオ栽培にも挑戦しており、代表の林正幸さん(33)は「すべて県産原料でチョコレートを作りたい」と夢を描く。(社会部・松田麗香)

自家製の黒糖をガーナ産のカカオで包んだボンボンショコラ

代表の林さん(後列右)ら社員総出で、定期的に糸満市にある自社の指定農園でキビを刈り取り、黒糖を作っている=糸満市豊原、2018年1月

自家製の黒糖をガーナ産のカカオで包んだボンボンショコラ 代表の林さん(後列右)ら社員総出で、定期的に糸満市にある自社の指定農園でキビを刈り取り、黒糖を作っている=糸満市豊原、2018年1月

 約100平方メートルの店内で、カカオ豆の焙煎(ばいせん)や粉砕などチョコレートになるまでの工程を全て手掛ける。メイン商品のタブレットチョコレートなどの原料は厳選した海外のカカオとキビのみ。素材の味を引き出すことにこだわる。

 横浜市出身で代表の林さんが2016年にオープン。バリスタでもある林さんは元々、エスプレッソに合わせる砂糖を研究するため4年前に沖縄に移住。県内各地の砂糖を調べるうち土壌や気候で味が違うことに気付き、キビの奥深さや沖縄の自然の豊かさに感動したという。

 「サトウキビは健康にも良く、味の幅も広い『ぬちぐすい』。単なる甘味料ではもったいない」。幅広い世代に親しまれるお菓子でキビの魅力を伝えようと考え、独自にチョコレートの製法を研究した。

 さらにカカオに合う黒糖を作るため、14年から糸満市でキビ栽培を開始。農薬に頼らず、週に1度通って、土の状態や生育具合を確かめる。社員やアルバイトが刈り取ったキビの一番搾り汁を手作業で炊き上げ、まろやかな黒糖に仕上げる。

 沖縄の気候では難しいとされるカカオの栽培にも挑戦。昨年植え付けた種は順調に成長し、2~3年後の収穫を目指す。林さんは「いずれは100%県産原料を使い、まじりっけなしの沖縄チョコレートを作りたい」と夢を抱いている。