県内のハローワーク(公共職業安定所)で働く職員のうち2015年4月現在、71・3%に当たる290人が単年度契約の非正規雇用であることが分かった。国民に安定した雇用機会を確保する目的で設置されている行政機関で、非正規雇用が多用されている実態は労働行政の矛盾だ。

 厚生労働省によると、全国のハローワークでは14年度、全職員の6割に当たる1万6737人が非正規だった。県内の非正規率はそれより10%以上も高いことになる。県内自治体職員の非正規率が平均4割であるという点から見ても、ハローワークの非正規率は突出している。

 その要因として厚労省は、リーマンショック以降、急速に悪化した雇用情勢を受け国が緊急政策を打ち出したことで臨時の労務が増加したためとする。

 しかし県内の非正規率はことし4月に7割、全国でも12年度64%、13年度61%と高止まり傾向にある。こうしたデータは、労働行政の現場で、ほぼ固定化した業務を非正規労働者が担当しているという実態を示している。

 自治体をはじめ公務員の職務(公務)の非正規雇用が「官製ワーキングプア」と問題視され始めたのはリーマンショック以前の07年。労働行政のお膝元で問題が常態化しているとあれば、国レベルで公務における非正規雇用を見直すべきだろう。

 公務の非正規はさまざまな職種で存在するが、なかでも「現業職」と呼ばれ直接市民と応対する部門に多用されている。教師、保育士、栄養士、相談員、ケースワーカーなど専門性が必要とされることが多いのも特徴だ。

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 しかし公務では、こうした専門性への対価がほとんど考慮されていない。逆に正職員に比べ圧倒的に収入が低く、7割近くが年収200万円以下というデータもある。

 労働契約法やパート労働法など非正規労働者を守る法律も適用されず、そのため公務では正職員と非正規の極端な待遇格差を生み出している。民間の非正規と比べてもあらゆる面で労働者としての権利が棚上げにされている。

 こうした公務の非正規は、戦後、復員者などの受け皿として国や自治体で大量の臨時職員雇用が行われたことに由来する。1960年代に国は是正に動くが、ある程度正職員化が進んだ70年代に入ると一転、臨時職員の短期雇用を繰り返す形が一般化した。

 国や自治体の財政難を理由に非正規はさらに広がり、公務は非正規の存在を前提に成り立ってきた経緯がある。

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 総務省は昨年、全国の自治体などに非正規の待遇改善を促す通知を出したが、効果は十分とは言えない。ことし9月には厚労省が非正規雇用対策を推進する「正社員転換・待遇改善実現本部」を設置したが、同施策に公務が含まれるかは不透明だ。

 ただ、実態を見る限り、公務における非正規労働者の正職員化は急務だ。同時に、長年非正規に頼ってきた公務の在り方そのものを見直す必要もある。