「沖縄の風が変わるね」

 名護市長選の投開票があった4日夜、安倍晋三首相は渡具知武豊氏当選の知らせを受け、周囲に喜びを隠さなかったという。

 菅義偉官房長官は8日の記者会見で、「選挙は結果がすべて」だと言ってのけた。

 2014年に辺野古新基地建設に反対する稲嶺進氏が名護市長選に当選し、翁長雄志氏が県知事選に当選したとき、菅氏は「結果がすべて」などとは一切言わなかった。

 そのころ会見のたびに口にしたのは「粛々と(工事を)進める」という対話を軽視した上から目線の言葉である。

 市長選、知事選、国政選挙で立て続けに辺野古反対の民意が示されても一顧だにせず、逆に政権与党推薦の候補が勝つと「選挙は結果がすべて」だと言い切る。

 政府は、稲嶺前市長時代に支給されていなかった再編交付金を再開する方向で検討に入った。

 一方、2018年度の内閣府の沖縄関係予算は、使い道の自由度の高い一括交付金が前年度比で約170億円、12・6%の減となった。総額でも140億円、4・4%の大幅減となっている。あまりにも露骨なアメとムチである。

 新基地建設阻止を最重要課題に掲げる翁長県政が剣が峰に立たされているのは間違いない。だが、基地問題が解決に向かいつつあるとは到底言えない。状況はその逆だ。

 トランプ政権の核戦略や安全保障戦略は、近い将来、沖縄の負担がさらに重くなることを予感させる。

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 県を取り巻く内外の厳しい環境の中で、翁長県政はどのように基地行政を進めていくのか。基地を巡る複雑で多難な現実に今後どう対処していくつもりなのか。

 県に提案したいのは、トランプ政権誕生後の新たな状況を前提として基地問題を総ざらいし、住民の命と暮らしを守る立場から要求項目をまとめ、政府に新たな申し入れを行うことである。

 普天間飛行場返還の条件として那覇空港第2滑走路の日米共同使用が取りざたされているが、それは事実か。

 離島防衛を任務とする日本版海兵隊がキャンプ・ハンセンに配置されると一部メディアで報じられているが、それはほんとうなのか。

 オスプレイ配備がそうであったように、肝心な部隊・航空機・ミサイルなどの配備について県民は土壇場になるまで何も知らされず、決定の場からも遠ざけられ、結果だけを押しつけられている。

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 日米特別行動委員会(SACO)の最終報告は本来、沖縄の負担軽減が主目的で、辺野古移設も当初の段階では想定されていなかった。ところが、いまやどうだ。

 「日米一体化」と「軍事要塞化」が再編計画のキーワードであり、膨大な国費が投入されるにもかかわらず、負担軽減はかすみつつある。

 北朝鮮危機がさらに深まれば、沖縄と周辺海空域での訓練はさらに激しくなり、被害も増えることが予想される。

 県はこうした現状にどう対処するのか。早急に考えをまとめ、内外に発信すべきだ。