【質問全文】

 質問1 辺野古沿岸部の埋立事業は、日本政府が日米両政府間合意の履行として、閣議決定に基づき実施されている「国家の事業」であることは、明らかだと考えますが、いかがでしょうか。

 質問2 上記埋立事業が「国家の事業」であるとしますと、沖縄防衛局の埋立申請は、必然的に「国」(固有の資格)としての埋立申請と解されるのが自然であるかと考えますが、何ゆえに、同申請が「私人」としての申請と解されることになるのでしょうか。

 質問3 公有水面埋立法が、埋立申請につき、「私人」の申請と「国」の申請を区別していないということであれば、同法で「国以外の者」の申請と「国」の申請を区別して定めている理由をどのように考えればよいのでしょうか、貴職の見解を明らかにしていただきたい。

 質問4 平成11年の地方分権一括法により、地方自治法の中に国が地方自治体の判断に介入する「関与の制度」(第11章 国と地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係)が新設されています。国と地方公共団体との紛争は、同手続を利用して解決されるべきであるというのが同制度の趣旨と思われますが、貴職は、何ゆえに同制度の利用にとどめず、敢えて行政不服審査法に基づく審査請求制度を利用して、行政内部で「執行停止」の決定をしたのか、その意図を明らかにしていただきたい。

 質問5 地方自治法245条の8第1項は、国による代執行等の手続について、「本項から第8項までに規定する措置以外の方法によってその是正を図ることが困難」な場合に限って勧告、指示を行うことができ、同指示に知事が従わないときに高等裁判所に訴えを提起できると規定されています。

 今回、国土交通大臣は勧告書において「貴職が行った取消処分について、法その他の法令には他の機関がこれを取り消す規定はなく」と述べ、代執行等の手続によらなければ、「その是正を図ることが困難」であるとしています。

 その一方、勧告に先立ち、国土交通大臣は沖縄防衛局の行った審査請求を適法な申請と認めて執行停止決定を行っています。この決定は、国土交通大臣が、自らには本件審査請求における裁決によって沖縄県知事の行った埋立承認取消処分を取り消す権限を有すると判断したことを意味するものと考えます。

 すなわち、国土交通大臣は、当該埋立承認取消しに関して、一方では審査請求での解決が可能と考えており、他方では、代執行等の手続によらなければその解決を図ることが困難として、勧告を行っていることになります。

 何ゆえに、このような矛盾した判断がなされているのか、分かりやすいご説明をいただきたい。

【回答全文】

 平成27年11月6日付け知辺第38号において質問のあった件については、そもそも回答を行う法的義務はありませんが、その上で、当省としての考え方は下記のとおりです。

 貴職が行った公有水面の埋立承認の取消しに関して当省が行つた対応は、制度の趣旨・目的を異にする法律に基づきそれぞれ対応を行った結果であり、「都合に応じて自らの立場を使い分けるもの」とのご指摘は当たらないものと考えています。

 記

 沖縄県知事が行った公有水面の埋立承認の取消しに関し、国土交通大臣が10月27日に行った執行停止の決定については、沖縄防衛局と沖縄県の双方から提出された書面の内容を十分に審査した結果行ったものであり、その理由については、執行停止決定書において、明らかにしています。

 また「行政不服審査法に基づく審査請求・執行停止の申立てに関する手続」と「地方自治法に基づく代執行等の手続」については、次のとおり、制度の趣旨・目的を異にする法律に基づきそれぞれ対応を行った結果であり、「都合に応じて自らの立場を使い分けるもの」とのご指摘は当たらないものと考えています。

 行政不服審査法は、行政処分に不服がある者が簡易迅速な手続によってその権利救済を図ることを主たる目的とするものであり、地方自治法において、法定受託事務に関する審査請求については、法所管大臣に対して行うこととされています。このため、公有水面埋立法を所管する国土交通省においては、10月14日に沖縄防衛局長から審査請求及び執行停止の申立てがあったことを受け、行政不服審査法に基づく審査庁として審査を行つた結果、10月27日に、沖縄県知事が行った埋立承認の取消しにより、普天問飛行場の移設事業の継続が不可能となり、同飛行場周辺の住民等が被る危険性が継続するなどの「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」との判断を行い、執行停上の決定をしたところです。

 一方、地方自治法上、公有水面埋立法を所管する国土交通大臣には、同法に基づく都道府県知事による公有水面の埋立承認という法定受託事務が適正に処理されるよう、都道府県知事に対し、代執行等の一定の関与を行うことが認められています。国土交通省は、10月27日の閣議口頭了解(「普天間飛行場代替建設事業に係る公有水面埋立法に基づく埋立承認の取消しについて」)で示された政府の一致した方針に基づき、地方自治法に基づく代執行等の手続に着手したところです。