21~23日に県立博物館・美術館で「第2回こども国際映画祭in沖縄 (KIFFO)」が開かれます。上映するのは、小中学生の年代が主役の日 本 とインド、ドイツの長編です。まとめ役の映画監督・宮平貴子さん(36)は 「生き生きとした子どもの姿を楽しむと同時に、背景には原発事故や障 がい 者、難民の問題が描かれ、大人も一緒に考えることができます」と言います。悲 しい沖縄戦からちょうど70年という、節目に催す思いを聞きました。

日本映画「ハルをさがして」の一場面です。93分の長さです

インド映画「レインボー」の一場面です。103分あります

ドイツ映画「赤い船のローラ」の一場面です。93分あります©Sabine Finger

こども国際映画祭ディレクター 宮平貴子さん

こども国際映画祭日程表

日本映画「ハルをさがして」の一場面です。93分の長さです インド映画「レインボー」の一場面です。103分あります ドイツ映画「赤い船のローラ」の一場面です。93分あります©Sabine Finger こども国際映画祭ディレクター 宮平貴子さん こども国際映画祭日程表

■心の栄養 多感な時期に

 日本映画「ハルをさがして」は、東京電力福島第1原発事故で東京に避難して きた女子中学生が、同級生の男子3人と、福島に残してきた愛犬を探し に出か ける青春物語です。インドの「レインボー」は日本初公開。インターネット上で 多くの方から資金が集まり、日本語吹き替え版を制作できまし た。全盲ですが 明るく賢い少年が、姉と一緒に映画スターに目を治療してもらう旅に出るストー リーです。ドイツの「赤い船のローラ」は、船で暮らす 負けん気の強い少女 と、前向きで魅力的なシングルマザー、転校してきたクルド人難民の少年を軸に 展開する活劇のような映画です。

 3作とも子どもの表情が豊かであるだけでなく、複雑で多面的な国内外の現実 も映し出していて、見た人がそれぞれに考えて、答えを持てる内容で す。映画 は学校の勉強とは一味違って「心の栄養」になります。私は子どもたちの感受性 を信じています。多感な時期に、世界のさまざまな問題に生身 の人間が立ち向 かう姿を映画で見て、自分の世界や人とのつながりを広げてほしいと願っています。

 今年の映画祭の合言葉は「映画は、考える冒険だ!」です。考えることがなぜ 大切なのでしょう。70年前の沖縄戦と戦争に至る過程では、徹底した 皇民化 教育によって子どもの思考が閉ざされ、命が軽んじられたからです。そうした思 想教育は、多くの若者を戦地へと向かわせ、悲惨な「集団自決 (強制集団 死)」につながりました。同じ過ちを2度と繰り返さないために子どもも大人 も、一人ひとりが考えるきっかけを作ることに重点を置きまし た。

 具体的な実践として、入場無料の前夜祭で、ドキュメンタリー「むかし むか し この島で」を上映します。沖縄戦のさなかに、真っ暗な井戸から救 い出さ れる子どもたちや、「米軍は民間人を殺さないから」と投降するよう説得する米 国移民経験者たちの実写映像が出てきます。映像の力を通して、 命の尊さを感 じ取ってほしいと思います。

 本祭の3作も沖縄を題材にはしていませんが、どれも自分の足元へと想像を巡 らせることができる、普遍性のある映画です。国際映画祭では、他国の 文化や 人間ドラマを、自国にいながら身近に感じることができます。ですから、平和外 交の始まりだとも言えるのです。

 来年以降も毎年11月に、記念日のように、沖縄でこども国際映画祭を続けて いきます。映画を見たり運営に関わったりした子どもたちが、10年後 の映画 祭までに、世界にいろんな友達ができて、さまざまな国の言葉を学んで、お互い に仲良くなれるかもしれません。そんな近未来の姿を想像するこ とが、私の原 動力になっています。

 (※本祭のチケットは1作につき500円です。県立博物館・美術館で売って います。「第2回こども国際映画祭in沖縄」のホームページから、イ ンター ネットでも買えます。入場するには、当日に配られる整理券も必要です。詳しく は事務局098(996)1456に電話して聞いて下さい)