沖縄県伊是名村内の空き家となっている古民家を移住者向け住宅に再生し、定住を促そうという取り組みが注目されている。村が2013年から始めた事業で、ことし完成した2棟について村のホームページやフェイスブックで入居者を募集したところ、11月上旬までに120万件の閲覧があった。「木のぬくもりが伝わってくる」「仕事があれば住みたい」などのコメントも多く寄せられた。伊是名らしい風景を残しつつ、離島の人口減少に歯止めを掛ける取り組みに村が本腰を入れる。(北部報道部・西江千尋)

定住者向けに再生された古民家。島の景観を保つ役割も担う=伊是名村伊是名(同村役場提供)

 村が始めた「伊是名らしい古民家修復・復元事業」は、空き家となった古民家を一度解体し、再生するもの。使える資材は再利用し、キッチンやトイレなどは新しく整備する。家賃は月3万円で敷金なし。2021年までに、年1棟のペースで修復・復元する計画で、予算は約4億円。国の沖縄振興特別推進交付金を使う。

 村は3月、築110年となる勢理客区の旧名城家を修復、6月には伊是名区の民家を復元させた。村のフェイスブックには「インターネット環境は整っているか」「仕事はあるか」などの質問が殺到し、関心の高さを示した。

 2棟は、すでに入居する家族も決定。村によると、県外から伊是名区に入居予定の家族は、都心での生活では、子どもが思うように走り回ることもできないと言い「のびのびと子育てできる環境に住みたい」と話していたという。

■空き家増加

 こうした取り組みの背景には、人口減少への危機感がある。国勢調査によると、1980年に2144人だった村人口は、30年後の2010年には1589人に減った。

 同年調査の結果をもとに県がまとめた「沖縄県の人口、世帯、住居」では、県内市町村の中で5番目に人口減少率が高く、村によると、特に若年層の減少が顕著だという。

 島には高校がないため、末っ子の進学を機に家族で本島に移住するケースや、1人暮らし高齢者が体調を崩し、家族が住む本島へ移るケースもあり、空き家は増加傾向だ。こうした空き家を活用することで、移住者の誘致だけでなく、伝統的な古民家を残して島の景観を維持し、観光資源としても活用できる。

■豊かな自然

 現在は、もともと商店だった伊是名区の空き家の改修の真っ最中だ。年内に完成させ、来年2月上旬には入居者を募集する予定だ。前田政義村長は「尚円王が生まれた歴史のある島。歴史や自然を大事にし、あるがままの姿で定住者を迎えることができれば」と話す。

 一方で、移住後の雇用など課題も残る。前田村長は「島では第1次産業が主。農水産物を自分たちで加工・商品化する6次産業化に向けて積極的に取り組みたい」と語った。