名だたる高級店がひしめく東京・銀座の一角に「ひっそり」ではなく「どっしり」とたたずむ。漂う風格は、小学校というより文化財といったところか

▼高級ブランド「アルマーニ」を“制服”とする方針が物議を醸す中央区立泰明小を訪ねた。開校は1878(明治11)年。アーチを描く塀やフランス門と呼ばれるしゃれた門扉。玄関脇には「島崎藤村 北村透谷 幼き日 ここに学ぶ」と刻まれた石碑が目に入る

▼国内最初の赤れんが造りの校舎は関東大震災で全焼。復興事業として、贅(ぜい)を尽くした鉄筋コンクリートに建て替えられた。見えっ張りな校風は昔からの伝統と言えるかもしれない

▼ただ、公立で一式8万円超の制服は法外。他の有名ブランドのシャネル、エルメス、バーバリーにも打診したが、断られたそうだ。何が何でも高級制服ありきだったのか

▼区には450件の意見が寄せられ、批判が多いという。校長は、保護者の理解を得ずに独断で進めた手続きを反省しているが、それだけが批判の理由ではないだろう

▼ツタの絡まる校舎のてっぺんに掲げられた星形の校章。校歌にはこうある。〈人は心を磨くべし 思えば暗きやみに照る み空の星は われらの鑑〉。老舗小学校の誇りを体現するのは、一流ブランドの高価な制服ではなく、心身共に成長した子どもたちの姿だ。(西江昭吾)