映画の中で、老人たちが思春期同様、恋に悩んだり、浮かれたりするのをよく見る。

「ベロニカとの記憶」の一場面

 本作は、初恋の女性ベロニカを親友に奪われた過去を持つ男・トニーの物語。恋敵はベロニカと交際中に謎の自殺をとげた。40年後、バツイチ独り身のトニーの元に、1通の遺書が届く。

 その遺書は多くの謎を含み、親友の死の真相に迫ると同時に、淡い恋心を呼び覚まし、トニーの生活を少しずつ変えていった。

 極上のサスペンスが展開する傍らで、身勝手で鈍感なトニーの欠点が徐々に露呈するのがこの映画の醍醐味(だいごみ)。

 一通の遺書に動揺し、かつての恋人と元妻に、ありったけの迷惑をかけながら、それでも目の前の謎と過去の恋に決着をつけたいトニー。恋心を起爆剤に大爆走するジジイがかわいくて仕方ない1本。(桜坂劇場・下地久美子)

◇桜坂劇場で17日から上映予定