違法や違法に近い劣悪な労働条件で働かされる「ブラックバイト」の社会問題化を受け、厚生労働省が実施した初の調査で、回答した学生千人のうち6割が、アルバイトで労働条件に関するトラブルを経験していたことが明らかになった。

 学生の法律知識の乏しさや立場の弱さに、使用者がつけ込んでいるとみられる。早急に対策を講じる必要がある。

 厚労省の調査によると、主なトラブル内容はこうだ。採用時に合意した以上のシフトを入れられたり、労働時間が1日に6時間を超えても休憩時間が取れない。準備や片付けの時間に賃金が支払われない、時間外労働や休日・深夜の割増賃金が払われない-。

 労働基準法やその施行規則では、賃金などの労働条件を書面で示すよう使用者に義務付けているが、書面を渡されていたのは4割にとどまった。口頭ですら具体的な説明がないケースも2割あった。

 労働組合「ブラックバイトユニオン」には、大学生や高校生から月に50件以上の相談があるという。「進路のためにアルバイトを辞めたい」「試験期間なので休みたい」などと伝えても認められず、肝心の学業に影響が出ている事例も寄せられている。

 中には、アルバイト先のコンビニエンスストアで、おでん販売のノルマを課せられ、さばききれずに300個を自費で購入した男子高校生からの相談もあり、事態は深刻だ。業種別では、コンビニや居酒屋の店員、塾講師などのサービス業が目立つ。

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 深刻化するブラックバイトの背景には、労働市場の変化や学生の経済環境の悪化が指摘されている。

 パートや契約社員など非正規労働者の割合が上昇し、厚労省の調査では2014年10月時点で40%に達した。そのため、従来は正社員が担っていた責任ある仕事まで、アルバイトが負わざるを得なくなっている。低賃金にもかかわらず、基幹となる労働力として使われているのである。

 一方、非正規労働者の増加は家計にも影響を及ぼしている。1世帯当たりの平均所得額は減少傾向を続け、首都圏などの私立大に入学した下宿生への仕送り月額は14年度、8万8500円で集計開始以来最低を更新した。

 学生のアルバイトというと「遊び代稼ぎ」のイメージがまだ強いが、実際は生活費に充てる人も少なくない。給付型奨学金制度が十分ではなく、アルバイトをしなくては学業の継続が難しい、という厳しい状況の若者が増えている。

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 ブラックバイトで学生が酷使され、学業に支障が出たり、途中で諦めたりする事態は、何としてもくい止めるべきだ。

 労働基準監督署などの関係機関には、企業への指導・監督を徹底してもらいたい。学生が泣き寝入りすることのないよう、相談窓口の充実も必要だ。

 小中高校では近年、発達段階に応じたキャリア教育が盛んになっている。職業観の育成などとともに、働くルールや、問題があった際の対処も学べる仕組みを求めたい。