米軍機の学校上空の飛行を禁止せよ-。平敷昭人県教育長が中嶋浩一郎沖縄防衛局長に異例の要請を行った。

 児童・生徒にとって最も安全・安心であるべき学校が米軍機によって危険にさらされているという強い危機感からである。「児童・生徒の命を守る観点から」という言葉を使ったのは、そのためだ。

 平敷教育長の要請は卒業式や入試、入学式のシーズンを迎えるこの時期に、「厳粛な環境」を求め、毎年行っている。

 これまでに高校入試の英語の聞き取り検査や大学入試センター試験のリスニングの最中に米軍機が離着陸や旋回訓練しているのが確認されている。成長の節目となる大切な卒業式や入学式が米軍機の騒音によってかき乱されたこともある。

 沖縄は狭く、米軍の演習場と住宅地域が近接しているのが特徴だ。米軍は県内全域で訓練をしており、過去を振り返ると学校で事故が起きない保証は何もない。

 文書ではすでに要請していたが、重ねて協力を求めるとともに、学校上空の飛行禁止を緊急に付け加えた。

 全小中高校、特別支援学校の飛行禁止に踏み込んだのは、昨年12月、普天間第二小学校グラウンドにCH53E大型輸送ヘリコプターの窓が落下した事故が直接の要因だ。

 米軍機のトラブルが県内各地で発生。窓落下事故後、同小学校上空の飛行を「最大限可能な限り避ける」と日米合意をしたにもかかわらず、わずか1カ月で破られたことへの憤りもあろう。

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 県議会が今月1日に開いた臨時会で相次ぐ米軍ヘリの不時着事故と普天間第二小への窓落下事故に対し全会一致で可決した抗議決議と意見書もかつてない内容だ。

 政府が県に約束した普天間の5年以内の運用停止の期限は2019年2月末日。それを待たず、即時運用停止、保育園や学校、住宅など民間地上空での飛行の中止-などを要求している。

 県議会が即時運用停止に踏み込むのは初めて。しかも与野党の全会一致である。

 児童・生徒が被害を受ける懸念が高まり、県議会と教育行政トップが共に学校上空の飛行禁止を求めていることを政府は重く受け止めるべきである。

 2月定例県議会でもオスプレイから部品が落下した事故で抗議決議と意見書を全会一致で可決する見通しである。5カ月間で抗議決議と意見書は6件に上る異常事態だ。

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 普天間飛行場と嘉手納基地に関して日米が合意した騒音防止協定では「場周経路は、できる限り、学校、病院を含む人口稠(ちゅう)密(みつ)地域上空を避けるように設定する」「周辺地域社会にとって特別に意義のある日については、訓練飛行を最小限にするよう配慮する」などと定められている。

 「できる限り」とか「最小限にするよう配慮する」などの表現で抜け道をつくっているのが問題だ。

 政府が米軍に対し例外を許さないような強い姿勢で臨まなければ、とても主権国家と呼ぶことはできない。