FMしまじりのラジオドラマ「一中ストライキ事件」が、1月から県内のコミュニティーFMで放送され好評だ。ドラマは1895年、沖縄尋常中学校で、校長が英語科を廃止し、日本語教育に専念させようとした差別に対し、学生漢那憲和らの闘いを描く。会話やナレーションはほぼしまくとぅば。警察官、バスガイド、パーソナリティーらが、生き生きと演じた。FMしまじりの下里富造取締役放送部長は「漢那らが若いころのことを知れば、若い人たちが勇気付けられるのでは」と話す。(編集委員・謝花直美)

ラジオドラマ「一中ストライキ事件」を制作した(左から)下里富造さん、出演した久手堅豊さん、長浜靖さん=南城市大里高平、FMなんじょうスタジオ

 FMしまじりの小山信二さんによる脚本。出演者らがしまくとぅばに直し、約1時間のラジオドラマに仕上げた。県のしまくとぅば普及促進事業の補助を受けた。

 「一中ストライキ事件」として知られる事件は、校長児玉喜八が、しまくとぅばが日常語の学生が英語を学ぶのは負担とし、英語科廃止を打ち出したことがきっかけ。生徒の抵抗により英語科目は選択科として残るが、尽力した教師が処分された。さらに学生の退学処分をきっかけに、全校生徒が退学、新入生入学拒否に広がった。最終的に校長は転任した。

 出演者は8人。警察官や元公務員、ラジオのパーソナリティー、バスガイドなど職業はさまざまだが、しまくとぅばへの思いは一致している。2017年10月から制作を開始。一人ずつ各地のスタジオで収録を重ねて、完成させた。 

 後に沖縄学の創始者となる伊波普猷を演じた長浜靖さん(62)=那覇市=は、理性的な語り口で演じた。「家で半日練習して、スタジオで録音に挑んだ。伊波の正義感、リーダーシップに感動し、演じられてうれしかった」と話す。

 後に海軍軍人となり、衆議院議員を務めた漢那憲和は同事件のリーダー格。FM各局でしまくとぅばのパーソナリティーとして活躍する久手堅豊さん(61)=南城市大里=は、団結し抵抗する力が差別をはね返したことをラストで次のように表現した。「くぬストライキ事件とぅーち、日本政府かい対し、沖縄ぬ心 てぃーちんかいし闘いてぃ、くぬ力さーに、沖縄んかい 差別教育導入さんりしちゃる 児玉校長 沖縄から んじゃするくとぅがなたん」(このスト事件を通して、政府に対し、沖縄の心を一つにして闘い、沖縄に差別教育を導入しようとした児玉校長を転出させることができた)

 下里さんは制作意図を「沖縄がさまざまな琉球処分を経て、現在も基地を背負わされている。沖縄は日本政府と対峙(たいじ)して、もっと言うべきことがあるんじゃないか。この事件は重なる部分がある」。

 FMしまじりが運営するFMなんじょうの他、県内各地のコミュニティーFMでも番組を共有し再放送を予定する。CDも作成し、公共機関などに配布する予定だ。

 問い合わせはFMしまじり、電話098(943)0107。