翁長雄志知事は14日、沖縄県議会での所信表明演説で「辺野古に新基地は造らせないということを県政運営の柱に、全力で取り組む」と決意を語った。

(資料写真)新基地建設が着々と進む米軍キャンプ・シュワブ沿岸=6日、名護市辺野古

 沖縄防衛局から申請のあった希少サンゴの特別採捕を県が許可したのはその2日後、16日のことである。

 埋め立て予定海域のサンゴを移植するためには、県漁業調整規則に基づいて、県知事の許可を得る必要がある。

 特別採捕許可は、埋め立て工事に反対する市民などから、埋め立て工事を止めるための「強力な知事権限」と期待されていた。

 結果として翁長知事は、右手で「新基地を造らせない」とこぶしを振り上げ、意思に反して左手で埋め立て工事の進行を後押しするような判断を下したことになる。

 石材の海上搬入のため防衛局が国頭村奥港の使用を県に申請したときも、県は、手続きに瑕疵(かし)がない限り「法的に認めざるを得ない」として使用を認めた。

 この二つの事例は、最高裁判決後に埋め立て承認取り消しを取り消した知事にとって、工事を止めるための権限行使のハードルが、思っていた以上に高いことを物語る。

 だとすれば、知事はどのような手法、手順で公約の実現を図っていくつもりなのか。

 翁長知事は特別採捕の件では記者会見を開いていない。 説明を尽くして県民の理解を得ることがまず必要であり、それもなしにこのままずるずると事が進めば、知事の求心力は失われ、知事離れが進むのは避けられない。

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 南側の埋め立て海域で、希少サンゴ14群体が見つかったのは昨年7月のことである。サンゴの発見から県への報告まで2カ月近くもかかり、その間に13群体が死滅した。

 防衛局は昨年10月、残る絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ1群体を移植するため、特別採捕を県に申請した。それが今回許可されたのである。

 県は工事着手前にサンゴを移植するよう求めてきた。だが、防衛局は昨年11月、サンゴの採捕許可申請中に、「K1」「N5」と呼ばれる2カ所の護岸工事を始めた。

 サンゴ発見の報告が遅れたことも問題だし、県の申し入れが無視されたことも問題である。それなのになぜ県は、今回、特別採捕を許可したのだろうか。

 日本自然保護協会の安部真理子主任は「サンゴの移植条件や技術も疑問点ばかり。なぜ認めるのか、県民に丁寧な説明が必要だ」と指摘する(17日付社会面)。

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 移植対象のサンゴ類は7万4千群体になるといわれている。今後、相次ぐはずの特別採捕の許可申請に、県はどのように対応していくつもりなのか。

 サンゴの移植は「環境保全」の目的で行われる。それに反対すれば環境保全に後ろ向きだと批判されかねない、と県は危惧する。

 だが、工事を優先し、護岸工事を継続しながらサンゴを移植することが果たして妥当な手法といえるのか。県はその点も精査し、毅然(きぜん)と対応する必要がある。