衝撃的な結果である。

 妊娠や出産を理由にした職場での嫌がらせ「マタニティーハラスメント(マタハラ)」に関する厚生労働省の初の調査で、派遣社員の48%が被害に遭っていた実態が明らかになった。正社員では21%が経験していた。

 5人に1人も見過ごせない数字だが、立場の弱い派遣社員の2人に1人という深刻な数字が示すのは、妊娠・出産する女性を職場から排除しようとする日本の企業風土と結び付いた根深い問題である。

 調査によると、マタハラ被害で最も多かったのは、上司や同僚からの「『迷惑』『辞めたら』など権利を主張しづらくする発言」だった。「解雇」「退職や非正規への転換」を迫られるケースも少なくなかった。派遣社員に限れば「妊娠、育休申し出を理由とした契約打ち切りや労働者の交代」が目立った。

 県内の状況はどうか。

 沖縄労働局が2014年度に受けた男女雇用機会均等法に関する相談192件のうちマタハラ関係は42件と高止まっている。「妊娠等を理由とする不利益取り扱い」相談の6割は非正規からだった。

 均等法は妊娠・出産を理由とした解雇や契約の打ち切り、非正規への転換などを禁止している。その対象には派遣社員も含まれる。

 法律で明確に禁じられているにもかかわらずマタハラが横行するのは、法の理念が浸透せず、違反しても罰則がないなど抑止効果が限られているからだろう。

 会社の無理解に憤り、周囲の心無い言葉に傷つく女性は後を絶たない。

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 広島市の病院に勤務していた理学療法士の女性が、妊娠後に降格されたのは均等法に反すると病院側に損害賠償などを求めた訴訟の差し戻し審で、広島高裁は17日、原告の訴えを認める判決を言い渡した。

 「妊娠による降格は原則禁止」とする昨年10月の最高裁判決に沿う形で、女性が逆転勝訴した。

 社会問題化するマタハラに警鐘を鳴らし、働く人たちには意識改革を、事業主には厳格な対応を、行政には実効性のある対策を求める判決である。

 理学療法士の女性は「社会全体で力を合わせ、マタハラ防止のルールを作り上げてほしい」とコメントを出している。

 均等法の改正も視野に、さらに踏み込んだルール作りが必要だ。

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 一定の要件を満たせば非正規であっても育休を取得することは可能だ。しかし現実には、働く女性の6割を占める非正規のうち、第1子出産後に育休を取って働き続けているのは4%にすぎない。

 ルール作りとともに大事なのは育休中のカバー体制など仕事の分担、人員確保といった柔軟な組織づくりである。

 マタハラが起きる背景には、性別役割分担意識や長時間労働など日本社会の構造的問題が横たわっている。

 「女性の活躍」を成長戦略に掲げる安倍政権には、その問題に正面から向き合ってほしい。