組踊など沖縄の舞台芸能を分かりやすく楽しんでもらおうと、舞台袖にしまくとぅばを訳した字幕を表示する取り組みが、県内の施設で進められている。来場者の裾野を広げ、より多くの人に沖縄文化を親しんでもらうことが目的だ。関係者は「言葉の意味や沖縄の芸能文化の理解の手助けになる」と意義を強調する。(学芸部・与儀武秀)

組踊「花売の縁」で演者の唱えに合わせて表示される字幕

舞台を見ながら字幕を出す指示をする外間正樹さん(手前)

組踊「花売の縁」で演者の唱えに合わせて表示される字幕 舞台を見ながら字幕を出す指示をする外間正樹さん(手前)

 浦添市勢理客の国立劇場おきなわで13日に行われた「組踊鑑賞教室」。上演された「花売の縁」では、演者によるしまくとぅばの唱え(せりふ)に合わせて、舞台横の電光掲示板に日本語訳の字幕が映し出された。小中学生も含まれる来場者は、豊かな抑揚で語られる演者の唱えに耳を傾けながら、日本語の字幕に目を移し、言葉の意味を把握していく。

 「一般の方と入門編、入門編の中でも小学生が理解できるような易しい言葉でと、3パターンに分けて字幕を付けている」

 同劇場で約10年間、字幕指導係を務める外間正樹さん(55)は、字幕台本の整理のほか舞台を見ながら字幕を出すタイミングを指示。初出は「エンチュ」、次に「ねずみ」とせりふの言葉をそのまま表記したり、字幕をわざと遅らせて言葉の意味をまず考えてもらうなど、工夫を重ねる。

 「字幕自体は2004年の開館時から取り組んでいるが、現在の手法が定着したのはこの数年。来場者からは、理解の手助けになったとの感想が寄せられている」と説明する。

 同様の取り組みは、他施設でも実施されている。那覇市ぶんかテンブス館では、改装工事を経て昨年春から字幕表示のシステムを採用。スクリーンに日本語と英語の字幕を映して作品の理解を促している。

 同館副館長の大城真由子さん(37)は「国際通りに増えてきた外国人の観光客にも対応できるよう、英語表記を取り入れているのは県内でも珍しいのではないか」と説明。

 「組踊などで使われる言葉は難しい印象もあるが、字幕を付けることで裾野が広がる。今後はウチナー芝居などにも字幕を付けて、ウチナーグチの深みや面白さを多くの人に知ってもらいたい」と話している。