沖縄防衛局は、名護市辺野古の埋め立て予定海域に大型コンクリートブロックを投入するため、クレーン付きの作業船を搬入した。

 事態は日一日と悪化するばかりだ。新基地建設をめぐる状況が危険水域に入ってきたことを実感する。危険水域とは不測の事態が発生するおそれが高まってきた、という意味である。

 なぜ、そういうことが言えるのか。三つの動きを挙げたい。

 翁長雄志知事による埋め立て承認取り消し処分に対し、政府は、知事に代わって取り消し処分を取り消すことができるよう、代執行を求めて福岡高裁那覇支部に提訴した。

 対話による局面打開の道を国自ら放棄したのである。

 マニラ市内で19日に開かれた日米首脳会談で、安倍晋三首相はオバマ大統領に対し、辺野古への新基地建設を「確固たる決意で進める」と語った。

 沖縄の民意はそっちのけに、4月の首脳会談に続いて再び、辺野古推進の決意を披露したのである。

 県警・警視庁、海上保安庁の警備も目に見えて手荒になった。

 沖縄戦で甚大な被害を受け、戦後も「基地の島」であり続けた沖縄に対し、新基地建設のため、国があらゆる権力を動員して襲いかかっている、という構図である。

 これほど理不尽で、おぞましい話はない。民主主義や地方自治は、沖縄では風前のともしびだ。政府は、市民の安全を優先し、まず過剰警備をやめるべきである。

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 2004年に那覇防衛施設局(当時)がボーリング調査に着手したとき、海上保安庁は「流血の事態を招く恐れがある」として強制排除を拒否した(守屋武昌「『普天間』交渉秘録」)。

 だが、安倍政権になって海上保安庁の姿勢は、同じ官庁とは思えないほど変わった。 抗議船の船長(62)は、船に乗り込んできた海上保安官に体を押さえつけられて失神し、嘔吐(おうと)した。病院に搬送され、左脚の筋挫傷と過呼吸症候群で全治1週間と診断されたという。

 カヌー隊のメンバー(63)は「海水を飲まされ、おぼれてしまうかと恐怖を覚えた。無抵抗の私をうつぶせに押さえつけた」と証言している。

 23日には、ゲート前での座り込み行動で女性が右足の痛みを訴え救急搬送され、男性がもみあいの最中に一時、気を失った。選挙で示された民意を暴力で弾圧するようなことがあっては、もはや民主主義国家とはいえない。

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 歴代の政権は「権力の行使にあたっては、慎重で、抑制的でなければならない」という姿勢を堅持してきたが、安倍政権になって、行政権力の濫用(らんよう)というしかないような事例が目立つ。

 例えば、行政不服審査を請求し、知事の承認取り消し処分を執行停止の状態にした上で、処分取り消しの代執行を求めて提訴するという手法は、あまりにも強権的だ。全国津々浦々から「民主主義と地方自治を守れ」のコールが広がるのを強く期待したい。