「沖縄ノート」などの著書で知られるノーベル賞作家の大江健三郎さん(80)が23日、那覇市の琉球新報ホールで講演し、名護市辺野古への新基地建設について「核武装していく基地は、もはや沖縄の地方の問題ではなく、日本やアジア全体の問題。普天間から辺野古に移しても何も解決しない」と強調した。

自身の沖縄との関わりから、沖縄戦や民主主義、平和について語る大江健三郎さん=23日、那覇市泉崎・琉球新報ホール

 憲法9条を「日本が誇る大切な文化」とし、国民の反発をよそに安保法制を整備した安倍晋三政権の強硬姿勢を批判。「一番強い否定の声を上げているのが県知事であり、それを支えるあなた方だ」と沖縄の取り組みをたたえた。

 大江さんは50年前の1965年に初めて来県し、沖縄戦で多くの女子学生らが「天皇陛下万歳」と言いながら集団死したことに「本土の人間は、そういう社会状況を沖縄の人たちに押し付けてきた」と回顧。政府は民意を無視して新基地建設を推進しているとし「この10年間で安倍(首相)ほど何も意見を聞かない人間はいない」と言い切った。

 会場との質疑で、辺野古で反基地運動に関わる20代の「権力に弾圧されくじけそうになる」との意見に「ギリギリまで考えることで一歩進むことがある。もうちょっとやってみてください」と激励。辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消し、政府との法廷闘争に入った翁長雄志知事には「沖縄の主張をまっすぐ通してほしい」と要望した。

 講演会は戦後70年を機に新報社が主催し岩波書店が共催。別室でのモニター視聴を含め740人が聴き入った。