119人中114位。苦しいレースの末、たどり着いたゴールでみせた笑顔が心に残った。開催中の平昌冬季五輪でクロスカントリースキー男子15キロフリーに出場した南太平洋に浮かぶトンガのピタ・タウファトフア選手(34)

▼極寒の中、開会式で上半身裸の民族衣装姿で登場したことでも話題を呼んだが、五輪出場までの道のりを知ると、ますます目が離せなくなった。2~3年前まで雪にも触ったことがないというから驚く

▼リオ五輪ではテコンドー代表として出場。「新しい挑戦が必要」とスキーに転向し、わずか1年で冬季五輪の切符を手に。まともに滑ることもできなかった国際大会で負けが続いたが、諦めない精神で出場権を手繰り寄せた

▼遠征費も寄付を募った。板に車輪をつけたローラースキーで練習を重ねた。初心者の挑戦に、中傷もあったという。それでも「信念があれば何でも可能」と繰り返した言葉と努力には説得力がある

▼拠点のオーストラリアではホームレス支援の施設で働いてきた。出場権を得たのは、子どもたちに次の五輪への道をつなぎたいという強い思いもあったから

▼どんなスポーツ競技やアスリートにも計り知れない苦労のストーリーがある。メダルに関心が集まりがちだが、タウファトフア選手の目標に向かう精神力には勇気づけられる。(赤嶺由紀子)