「違憲状態」の選挙で選ばれた議員、と烙印(らくいん)を押された。最高裁の判断を国会や政府は重く受け止めるべきだ。

 「1票の格差」が最大2・13倍だった昨年12月の衆院選は法の下の平等に反し憲法違反だとして、弁護士グループが選挙無効を求めた全国訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は、選挙は違憲状態との判断を示した。

 最高裁が違憲状態と判断するのは最大格差が2・30倍だった2009年と同2・43倍だった12年衆院選に続き3回連続である。

 違憲状態は1票の価値に著しい不平等が生じていることをいい、格差を是正するのに必要な時間が十分あったのに国会が放置したと判断されれば「違憲」となる。

 最高裁が09年選挙の判決で、各都道府県に1議席を無条件に割り振る「1人別枠方式」が格差の要因と指摘したことから、昨年の衆院選は同方式を条文から削除し、「0増5減」で実施された。

 前回よりも、1票の格差が縮小されたが、13選挙区で2倍を超えて行われ、同方式も事実上残った。

 最高裁は憲法が保障する投票価値の平等に反すると判断する一方で、国会で議論が続いていることを評価した。

 これまでも違憲状態との最高裁判決を受けながら、抜本的な改革に対する国会の動きは鈍く、いまもって決めることができない。怠慢というほかないのである。

 立法府(国会)が本気になって選挙制度改革に取り組むよう強く促す意味でも最高裁はもっと踏み込んで判断すべきではなかっただろうか。

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 実際、14人の裁判官のうち3人は「違憲」判断だった。1票の格差を解消できない国会に対する警告である。

 このうち2人が「選挙無効」に言及していることに注目したい。1人は「違法宣言するのみで選挙を無効としない判決をただ繰り返すことに終始はできない」として格差が大きい選挙区の選挙を「即時無効とすべきだ」と主張。別の1人は「6カ月以内に是正されれば、新たな区割りで選挙することができ混乱を回避できる」として、是正できない場合「判決確定後6カ月で無効とする」と述べている。

 一審となる全国の高裁・高裁支部の判決17件のうち、「違憲」は1件、「違憲状態」は福岡高裁那覇支部を含め12件、「合憲」は4件。

 「違憲」は福岡高裁のみだったが、選挙無効請求は退けている。それだけに2人の「違憲・無効」判断は重い。

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 13年の参院選は最大格差4・77倍で最高裁でこれまた違憲状態と判断された。

 現安倍政権は違憲状態の選挙で生まれているのだ。しかも、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法の成立など憲法違反の疑いが強い政策が違憲状態の国会で行われたのである。

 投票価値をできる限り平等にし、民意を正確に反映させる。1票の格差の是正はその前提である。違憲状態を解消した制度の下で、選挙が行われない限り、国会の正当性は取り戻せない。