「金メダルは名誉ですが、どういう人生を生きていくかが大事」-。平昌五輪スピードスケート500メートルを制した小平奈緒選手の人間味あふれる振る舞いや言葉が多くの人の胸を打つ

▼遅咲きの31歳で頂点に立った。「与えられるものは有限、求めるものは無限」。ソチ五輪でメダルを逃し2年間本場オランダへ留学。技術だけでなく文化や言葉も貪欲に学んだ

▼自身のレース後、沸き立つ観客に人さし指を口に当て「静かに」と呼び掛け、直後に滑るライバル李相花(イ・サンファ)選手を気遣った。銀メダルに終わり泣き崩れる李選手を抱き寄せる姿を、韓国各紙は「リンクを溶かした友情」などと異例の大きさで好意的に報じた

▼一方で大会は北朝鮮の核開発をめぐり、政治の駆け引きの舞台にも。開会式に合わせ訪韓した安倍晋三首相は文在寅大統領に「米韓合同演習を延期すべきではない」と主張。文大統領は「国の主権の問題で内政干渉だ」と反発し、両国関係は悪化していただけに、スポーツの力に驚く

▼他国の選手と友情を育む小平選手は「スポーツは言葉のいらないコミュニケーション」「世界の人たちの心を動かす」と話す

▼国際オリンピック委員会(IOC)の公式ページに小平選手の言葉が紹介されている。「スポーツは世界をつなげ、一つにできます。とても簡単なことです」(知念清張)