◆第2部 起業を育む スタートアップカフェコザ

 沖縄市が創業・起業支援の拠点として2016年8月に同市中央の一番街商店街にオープンさせた「スタートアップカフェコザ」。21日午後7時すぎ、2階のスタジオでは、スーツ姿の男性やカジュアルな服装の女性ら約20人が、それぞれのパソコンに英語や日本語の入り交じった独特の文字列を打ち込んでいた。

スタートアップカフェコザでプログラミングを学ぶ受講生たち=沖縄市中央・同カフェ

 同カフェでは平日の昼と夜、ウェブやシステムを制作する技術を学ぶプログラミング教室を開講している。1日3時間で8週間の日程の教室は年4回実施。受講生は会社員や主婦、学生、定年退職後のシニア世代とさまざまだ。

 これまでに220人が卒業し、約60人が会社を設立したり、フリーランスのプログラマーとして独立を果たしたりした。IT会社に転職し、キャリアアップにつなげた人もいる。7期目の現在は33人が受講している。

 講師を務める大田翔也氏は「短期間でウェブ制作ができる技術を身に付けられるため、課題が出されるなど内容がハードにもかかわらず、人気が高い」という。

 ITが急速に発達し、さまざまな産業で活用の幅が広がる中、ウェブだけでなく、システム、ゲーム、コンピューターグラフィックス(CG)などのプログラマーは世界的にも不足している。

 同カフェ代表の中村まこと氏は「パソコン1台あれば、世界中から受注でき、どこでも仕事ができる。誰にでも可能性がある上、やり方次第でビッグビジネスも作り出せる」と強調する。

 同カフェは、県内金融機関や行政などと提携しており、融資や出資、支援制度の活用につなげる橋渡し役も担う。1階のオープンカフェでは受講生に加え、IT技術者や起業を目指す人たちも交流する。起業家たちは、自らの事業に必要な人材の発掘にもカフェを役立てている。

 昨年11月に沖縄市で開業したIT企業「Link and Visible(リンクアンドビジブル)」の豊里健一郎代表は、プログラミング教室に通い、英語が堪能な生徒に目を付け、共同創業者として招いた。豊里代表は「(カフェで)登記などの細かい手続きのアドバイスから、人脈を広げることまででき、短い時間で会社を設立できた」とする。

 カフェを利用して起業した人はオープンから昨年11月までの1年4カ月で51人に上る。ただ、中村代表は「起業家の輩出がこのカフェの目標ではない」とする。

 目標に掲げるのは、起業家が事業を成功させ、その収益を次の起業に投資するエコシステム(好循環)の構築だ。「エコシステムを作り出せれば、資金だけでなく、人や情報もさらに集まる。何よりも成功者の経験やノウハウは、次の起業家に大いに役立つ」と説明する。

 中村代表は「起業した後も支援を続け、多くの会社の事業を成功に導きたい。エコシステムを構築し、沖縄をイノベーションが次々と起こるハブにする。それは近い将来に実現できるはずだ」と意気込む。(政経部・照屋剛志)

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 ITなどのテクノロジーの進歩や、アジア経済の台頭による市場拡大で、県内でもベンチャー企業への期待が高まっている。行政や金融機関、民間企業も支援態勢を整え、起業を後押しする。第2部では、ベンチャー企業を取り巻く環境を紹介する。