沖縄県本部町出身で世界ボクシング評議会(WBC)スーパーフライ級2位の江藤光喜(白井・具志堅スポーツ)は28日、仙台市で王者カルロス・クアドラス(帝拳=メキシコ)に挑む。江藤は2013年8月、世界ボクシング協会(WBA)フライ級暫定王者になったが、日本ボクシングコミッションは暫定王座の乱立を理由に、江藤を王者と認めなかった。「絶対に、自分の実力を証明してみせる」。沖縄県勢では1992年の平仲信明氏以来、23年ぶりとなる正規の世界ベルト奪取に闘志を燃やしている。(小笠原大介東京通信員)

公開練習でスパーリングする江藤光喜=東京都杉並区の白井・具志堅スポーツジム

 「やっと来たなという感じ」。江藤の言葉からは、世界戦を待ちわびた思いと勝利への確固たる自信が伝わってきた。

 2年前、タイで世界フライ級暫定王者になった。日本男子選手のタイでの世界戦初勝利という快挙だったが、「どこか心に隙があった」と4カ月後の初防衛戦で陥落。あらためて「人間の強さとは何か」「自分にとってボクシングとは何か」をもう一度見直した。

 14年の再起戦で東洋太平洋フライ級王者になると、2度の防衛をKOで果たし、世界再挑戦に向けてひたすら拳を磨いてきた。

 今回、これまで主戦場だったフライ級から1階級上げたことで、減量苦から解放された。計量前は絶食が続き、最大で13・5キロ減らしていたフライ級(50・80キロ)と比べ、Sフライ級は52・16キロ。わずか1・36キロの違いだが、「ステーキも食べられるし、体調が全然違う」とコンディションの良さを実感している。

 県出身で元世界王者の友利正トレーナーは「パワー、スピードが全然違う。特に、右が当たれば相手は立っていられないのでは」とアピールした。

 対するクアドラスは33勝26KO無敗1分けと驚異的な戦績を誇る王者だ。野木丈司トレーナーは「打ち終わりを狙われないように。長いリーチを生かして攻め、勝負どころで一気に仕掛けたい」との戦略を描く。

 ことし、ジム設立20周年を迎えた具志堅用高会長は、まだ男子の世界王者を誕生させていない。「チャンピオンにしか見えない景色がある。それを見せてあげたい」と、まな弟子に熱い期待を寄せる。

 沖縄を背負って世界で戦い続けた具志堅会長の勇姿が、本部の“ヤナワラバー”だった江藤をボクシングの道へ導いた。「会長は沖縄の人たちに勇気を与えた。レベルは違うが少しでも近づきたい。最後に俺の手が上がる試合にする」。決戦のゴングは間もなくだ。