中国をにらんだ自衛隊の基地建設計画が、先島の三つの島で、同時に進んでいる。

 日本最西端の与那国島には陸上自衛隊の沿岸監視部隊。島の中学生以上による住民投票で「配備賛成」が過半数を占めたことから、現地では駐屯地の整備工事が進む。

 すでに自衛隊基地が存在する宮古島には、陸上自衛隊の警備部隊と地対艦・地対空ミサイル部隊。防衛省は、候補地を絞り込み、下地敏彦宮古島市長に計画を打診した。

 観光地として絶大な人気を誇る石垣島にも、陸自の警備部隊と地対艦・地対空ミサイル部隊を配備する計画だ。若宮健嗣防衛副大臣は26日、石垣市の中山義隆市長を訪ね、協力を求めた。

 島の中央部にある開南集落から西へ約500メートル、平得大俣地区の市有地を候補地として絞り込んだという。

 いずれのケースも、離島における「自衛隊の空白地域を解消する」ためである。水面下での周到な調整の跡がうかがえる。

 誘致賛成派の中には、主に二つの声がある。中国の動きに不安を感じ、防衛力の増強を求める人たちと、自衛隊を誘致して人口減少に歯止めをかけ、島の経済を活性化したい、という人たちである。

 人口減少への島の人々の危機感は切実だ。

 その一方で、ローラーで敷きならすように三つの島に一気に部隊を配備する今回の手法は、戦後一貫して重い基地負担を背負わされ続けてきた沖縄への配慮が欠けている上に、地域の緊張を高める恐れもある。

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 人口減少などの離島問題を克服しつつ、地域の緊張を高めるのでもない「望ましい将来」をどのように描いていくか。空気に流されない冷静な議論が必要だ。

 今、沖縄で何が起きているのか。どのような事態が進行しているのか。

 基地建設や部隊配備計画が進んでいるのは先島だけではない。

 航空自衛隊は現在、那覇基地に戦闘機部隊1個飛行隊を配備しているが、福岡の築城基地から1個飛行隊を那覇基地に移動させ、2個飛行隊で構成する第9航空団を新たに編成する計画だ。那覇空港の第2滑走路建設工事は、観光客の増加に対応するためだけではなく、戦闘機部隊の増強に対応するためでもある。

 名護市辺野古では米海兵隊の新基地建設に向けた埋め立て工事が続いている。

 十分な議論もないまま、官邸や防衛省の一方的なペースで「沖縄要塞(ようさい)化」が進んでいるのである。

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 尖閣諸島を含め南西地域の防衛は、一義的に日本の自衛隊が担うことが日米の間で合意されている。だとすれば、なぜこれほどまでに強引に辺野古に新基地を建設しなければならないのか。

 安保法の制定と日米ガイドライン見直しによって抑止力が高まる、と政府は強調するが、ほんとうにそうか。むしろ「要塞化」によって沖縄が攻撃対象になる可能性が高まるのではないか。疑問はつきない。