沖縄県名護市辺野古の新基地建設阻止を目的に翁長雄志知事が3月中旬、訪米する。当初、知事周辺では辺野古新基地を造らずに問題を解決する「代替案(県案)」を作成し、骨格を発表することを検討した。だが、県庁内の慎重な意見に押される形で、まずは有識者らの「各論」(県幹部)を検証し、辺野古断念への道を探ることになった。

知事周辺では辺野古新基地を造らずに問題を解決する「代替案(県案)」を作成し、骨格を発表することを検討したが、県庁内には慎重論があった

 「反対だけでは話は進まない。米国は沖縄県の具体的な意見を求めている」。知事側近の一人は、昨年末、県案を研究する意義をこう強調した。

 県案作成方針の源流の一つは米ジョージ・ワシントン大のマイク・モチヅキ教授の提案だ。モチヅキ氏は昨年7月に来県し、日米と沖縄の外交専門家らで辺野古の代替案を練る検討会議の立ち上げを提言した。

 法的な知事権限とともに、国内外での世論喚起は「辺野古阻止」の2本柱と言え、県関係者は「辺野古は必要ないという説得力のある案を示して理解を得ることは重要だ」と強調。モチヅキ氏らの助言を得ながら独自案の作成に意欲を示していた。

 ただ、県庁内や知事の支持者の間では代替案への慎重論は根強い。そもそも、知事は辺野古に反対し、普天間飛行場の返還を求めている。つまり、県内移設を伴わない返還だ。

 県幹部は「代替案は辺野古以外を差し出す結論になりかねない」と困難視。別の幹部は「現県政で代替案は出せない。『辺野古の代わり』ではなく『辺野古を造らなくてもいい』ロジックを積み上げることが重要だ」と指摘する。

 米国でのシンポジウムではペリー元米国防長官やモチヅキ氏らが自身の見解や研究内容を発表し、政府が主張する「辺野古が唯一」に疑問を呈するとみられる。代替案を模索した関係者は「辺野古を止めるには辺野古に新基地を造らなくてもいい理由が不可欠だ。いずれ、県案は必要になる」と語った。(政経部・大野亨恭)