都はるみの歌う「北の宿から」に疑問しかなかった初遭遇から30年。「着てはもらえぬセーターを寒さこらえて編んで」しまう女性の感情を理解できるくらいには成長した。

「YARN 人生を彩る糸」の一場面

 と同時に、編み物とは愛する者が寒い冬に凍えないよう、女性が寒さをこらえてこしらえる「愛の塊」というイメージでとらえてきた。

 しかし、この作品に編み物のイメージを根底から覆された。防寒とも、愛とも違う。「編み物はアートなのだ」と、感情のままに糸を編み、世の中を美しく彩る作家たちのドキュメンタリー。

 ある者は編み物特有の、気の遠くなるような細かい作業を「ヨガと一緒」と言い、ある者は毛糸で人魚を作り、ある者は遊具を作る。凝り固まった「編み物」の概念が壊れ、どこまでも広がっていく、衝撃作。(桜坂劇場・下地久美子)

 ◇桜坂劇場で24日から上映予定