サッカーJ3のFC琉球は、13チーム中9位(12勝9分け15敗)で参入2年目のシーズンを終えた。就任3季目の薩川了洋監督は、過去にJ3のAC長野パルセイロで指導した選手を中心に戦力を補強。最後まで走り切る「薩川イズム」の浸透を図ったが最終第3クールで失速し、昨年と同じ順位に終わった。今季の琉球の戦いぶりを、勝敗の内訳や得失点の傾向などから検証する。(花城克俊)

SC相模原戦で前半42分、3点目のシュートを決めて喜ぶFC琉球の小幡純平(左から2人目)=8日、県総合運動公園陸上競技場

3季指揮を執り、退任するFC琉球の薩川了洋監督

2015年シーズン 得失点の時間帯割合

2015年シーズン最終成績

SC相模原戦で前半42分、3点目のシュートを決めて喜ぶFC琉球の小幡純平(左から2人目)=8日、県総合運動公園陸上競技場 3季指揮を執り、退任するFC琉球の薩川了洋監督 2015年シーズン 得失点の時間帯割合 2015年シーズン最終成績

▽厳しいスタート

 開幕から7戦2勝2分け3敗と厳しいスタートを切った第1クール。今季J3に昇格した山口と初対決した第8節ではロスタイムに失点し、3-4で敗戦した。続く町田戦でも0-0からラストプレーで失点し、連敗した。その後の3戦を2勝1分けと持ち直したが、12戦を終えて7位だった。

 第2クールは第1クールと対照的に、接戦に強い姿を見せた。12戦で挙げた6勝は全て1点差。第16節のU-22選抜戦から今季初の3連勝を果たし、順位も5位に浮上した。

 だが9月6日からの最終第3クールは攻守のバランスが極端に崩れた。上位3強(山口、町田、長野)との重要な連戦で3連敗し、順位は後退。残り4試合も勝ち星を挙げられず、3分け1敗と失速した。

▽格上には勝てず

 上位3強に対しては1分け8敗と大きく負け越した。8位以上で勝ち越したのは5位の富山(1勝2分け)と8位の秋田(2勝1分け)のみ。下位については12位のU-22選抜にだけ3連勝したが、最下位のYS横浜には1勝2敗だった。

▽平均得点アップ

 昨季1点に満たなかった1試合平均得点は1・25点と向上し、計45点は13チーム中6位だった。シュート数も362本で、優勝した山口に次ぐ3位と攻撃的な姿勢を見せた。

 今季の鍵は先制点だった。前半終了時にリードした試合は勝率6割で、先制点を取れば勝率は68%を越えていた。得点時間は過半数が後半に挙げており、20%が後半31分すぎからの終盤に決めている。

▽目立つ後半失点

 計51失点はワースト4位で、完封試合は8試合にとどまった。3連敗した山口には計10点を奪われた。時間帯では昨年同様、後半失点するケースが多かった。後半の開始15分に次いで残り15分での失点が多く、約2割に及んだ。特に後半ロスタイムは11%強と、集中力のなさが目立った。

▽攻撃的3バック

 システムは従来の「4-2-3-1」に加え、第5節から3バックを採用。相手や選手の調子によって「3-4-3」を併用し、攻撃的布陣で臨んだ。FW田中恵太がチームトップの9得点、MF岩渕良太も4得点やアシストで貢献し、新加入組が攻撃をけん引。また途中出場で25試合に出て、万能選手として機能した才藤龍治や33試合で守護神を務めたGK今野太祐らルーキーの活躍も光った。

▽人への投資必要

 昨年以上に人件費を削減し、「アマチュア選手が3分の2」の状況で戦った今季も上位進出はできなかった。3季指揮を執った薩川了洋監督が去り、チームは再び白紙の状態からスタートする。「県民に愛されるチーム」になるためにも補強部分を的確に判断し、有効に人への投資を行うことが球団に求められる。

■選手集中できる環境を 今季で退団の薩川監督

 今季限りで退団する薩川了洋監督に、FC琉球での3季を振り返ってもらいながら、今後について聞いた。(聞き手・花城克俊)

 -今季を振り返って。

 「シーズン前に掲げた現実的な目標は4位。第2クールには接戦で勝ち点を拾えるようになり5位をキープできたが、第3クールは特に攻守のバランスが悪かった。守備が抑えている時には得点が取れない。逆に攻撃陣が点を入れている時には、守りが踏ん張れなかった。4-6で負けた今月8日の相模原戦が象徴的だった」

 -指揮を執った3季でチームはどう変わったか。

 「上位クラブに比べれば、個人の技術で劣っているのは否定できない。だがコミュニケーションを取って、お互いの足りない部分をカバーし合えるようになったことに成長を感じた」

 -これからのFC琉球に望むことは。

 「クラブはもっと選手を大事にしてほしい。会社で例えれば選手は商品。いい商品を提供しないとお客さんは買ってくれない。与えられた戦力で勝負するのは首脳陣の腕の見せどころでもあるが、選手が少しでもサッカーに集中できるような環境づくりに力を入れなければ、上位との差は埋まらないと思う」