ネクタイも締めて、キリッと1日館長へ意欲をみせるにゃんにゃん丸さん

 前編で1日ねこ館長を務めるにゃんにゃん丸さんの日常をのぞいてきた筆者(たまきまさみ)。2月22日の「猫の日」は足取りも軽く、県立図書館へと向かいます。

 全国初の「1日ねこ館長」に任命される、津覇にゃんにゃん丸さんに密着するため、私は沖縄県立図書館へ。予定より早く到着した図書館は、静かに読書をしている人で席は埋まり、「本当にここにねこ館長がやってくるのかしら?」と思うような静けさだ。図書館と猫…。この組み合わせって不思議じゃない?

にゃんにゃん丸さん専用の館長室(?)に収まり、来館者をマイペースに見守ります。

 そんな私の疑問に、イベントを企画した県立図書館主事の仲尾涼子さんが「アメリカでは昔、『デューイ』や『ベイカー&テイラー』という図書館猫として働いていた猫たちもいて、図書館と猫は相性もいいんです」と教えてくれた。副参事の垣花昭彦さんは「1日ねこ館長を見て『かわいい~』だけではなく、県内の猫の現状や啓発活動をしている団体がいることを知り、考えてほしい」と願いをこめている。

◆6000いいね!

 1日ねこ館長のきっかけはツイッターだ。図書館と隣り合う与儀公園内にも猫が暮らしている。昨年秋、1匹の猫が数回図書館を訪れたことがあった。警備員さんが抱えて外に出したものの、また自動ドアから来館。その様子を写真に撮り、「#猫の写真へたくそ選手権」というハッシュタグを付けて投稿したところ、普段は20ほどの「いいね」が6000を超えた。実際のツイートをのぞいてみた。

 「本日、猫ちゃんの来館が数回ありました。肌寒くなってきた那覇。大変申し訳ないのですが、猫ちゃんは入館できません。もし、館内で猫を見かけましたら、カウンター職員へお知らせください」という100文字にも満たないやさしいつぶやきと、警備員さんも思わず笑顔で猫ちゃんを抱える写真が添えられていた。
 

 このつぶやきが6000いいねを超えた記念と、与儀公園にはさくら猫(不妊手術を受けたしるしとして、耳の先っぽを桜の花びら形にカットした飼い主のいない猫)もたくさんいるので、関連したイベントをしたいと思っていたことから今回の企画が実現した。

◆館長、かわいすぎ♡

 就任式の時刻になり、飼い主の津覇綾子さんとともに、この日のためにと仲尾さんが用意したネクタイを身に着けたにゃんにゃん丸さんが現れる。あっという間に大勢の人たちに取り囲まれるにゃんにゃん丸さん。逃げ出すことなくマイペースな姿に、館長にふさわしい器の大きさを感じずにはいられない。

就任式に臨むW館長。

 にゃんにゃん丸さんをひとめ見ようと詰めかけた人たちと報道陣に囲まれるなか、就任式はスタート。新垣忠館長から「日頃はなかなか、図書館の舞台裏であるバックヤードに面する機会もないと思います。ねこ館長と一緒に見ていただいて図書館がどういうところなのか、ねこ館長にもPRしてもらえれば」という言葉とともに、にゃんにゃん丸さんへ辞令が交付された。

 就任後初の業務はバックヤードツアー。飼い主の津覇さんに抱きかかえられたにゃんにゃん丸さんの「にゃーん」という鳴き声から視察はスタートした。

インスタ用の写真撮影にも、上手に応じる。 1日館長、さすがです!

 館外協力室では職員の方からにゃんにゃん丸館長へ「空とぶ図書館」などの事業説明があり、地下書庫では26万7千冊余りの中から職員さんが問い合わせのあった本を実際に探し出す作業を説明する。

地下書庫に並ぶ本を見つめる1日館長のにゃんにゃん丸さん
「館長、あの本はどこに…」「あっちかニャー?」

 バックヤードツアー参加者が体験する様子を、本にとって適切と言われる温度と湿度のなか、にゃんにゃん丸館長はリラックスした香箱(こうばこ)座りで見守った。そんな館長の一挙手一投足に、あちこちから漏れてくる「かわいい♡」という言葉とともに、シャッター音が鳴り響いていた。

◆マイクロチップの役割は?

伊波普猷氏との夢の3ショット写真は、割愛しました!

 ツアー終盤となる館長室では歴代館長の写真(初代館長は伊波普猷氏!)をバックに、にゃんにゃん丸館長に埋め込まれたマイクロチップの読み取り体験が行われた。専用器でマイクロチップを読み取ると世界で唯一の15桁の番号が表示される。データベースに登録した情報と照会することで、飼い主が判明する仕組みだ。

 ヒマワリ動物病院の伊良波千景先生によると「震災時や事故などで飼い主と猫が離れ離れになっても、再会できる可能性が高くなる」という。データベースには、飼い主さんの住所・名前・連絡先を登録する。参加者は熱心に聞き入っていて関心の高さがうかがえた。

カウンターに座り込み、本の貸出業務を見守るのも、お仕事です。

 マイクロチップの読み取り体験を終えたにゃんにゃん丸館長は、館長席に腰かけ報道陣への対応も慣れた様子でこなす。少し眠たそうな表情で貸し出しカウンター当番に向かい、館長専用の箱に入ると本を借りにきた人や子どもたちへ気配りしつつ、最後までマイペースで任務を遂行した。

 図書館が静かに本を読む場所ではなく、その場にいるみんなの笑顔であふれ、同じ気持ちで1匹の猫を見守る一体感すら感じる場所に変わった1日だった。

館長室の座り心地は、いかがでしょうか?
スタッフとのミーティングも欠かせません。