大阪などの郵便局で配達や集配業務を担当する日本郵便の契約社員8人が正社員と同じ手当などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は一部の格差を違法と認めた。

 日本郵便の契約社員の待遇を巡っては、昨年9月の東京地裁判決があるが、今回は契約社員の待遇をさらに前進させる内容である。格差が問題になっている非正規社員の待遇改善につながる判決だ。

 訴訟の争点は、労働条件の違いが労働契約法20条で禁じる「不合理な待遇格差」に当たるかどうかである。非正規社員と正社員との間で賃金や福利厚生などの待遇に「不合理な待遇格差」を設けることを禁止する規定は旧民主党政権下で盛り込まれ、2013年に施行された。

 判決は原告が請求していた8種類の手当を検討。東京地裁では争われなかった扶養手当を新たに認め、年末年始勤務と住居手当について6~8割の支払いから全額支給へと範囲を拡大した。

 扶養手当と住居手当は、正社員と非正規社員でどんな待遇差が不合理になるかを示した政府の同一労働同一賃金のガイドライン案にも盛り込まれておらず、踏み込んだ判断である。

 扶養手当について「親族の生計を維持し、正社員と同様の負担が生じている」と、支給しないのは「不合理な待遇格差」に当たると正社員と同額を認めた。最繁忙期となる年末年始勤務手当や、転勤がない正社員も対象となっている住居手当も同様の認定をした。仕事が同じであることを考えれば当然の結論である。

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 一方で判決は、夏期年末手当や祝日給など5種類の手当は、労使間の交渉経緯や会社側の裁量を踏まえているとして、原告の訴えを退けた。

 「不合理な待遇格差」に当たるかどうかは仕事内容や責任の程度、転勤や昇進の有無などを比較して判断される。会社による解釈の余地が大きい。

 労使交渉に契約社員の声がどれだけ反映されていたかの検証が不十分のままである。

 各地で非正規社員の待遇改善を求める訴訟が相次いでいるが、違法性の認定は一部の手当にとどまる。大阪地裁判決は同一労働同一賃金の導入の後押しになる可能性があるが、司法による是正には限界があるのも現実である。

 日本郵便は会社として、労組は労働者を守る組織として非正規社員と正社員の格差是正に真剣に取り組むべきだ。

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 今や非正規社員は、労働者の約4割に相当する約2千万人に上っている。家計を支える中高年層にも及ぶが、賃金は約6割にとどまる。

 政府が今国会へ提出、成立を目指す働き方改革関連法案の柱の一つが同一労働同一賃金である。同じ仕事で、経験や能力の違いがなければ雇用形態に関係なく同一賃金・待遇とする内容で、正社員との間に格差をつける際は企業に非正規社員への説明を義務化する規定を盛り込んでいる。

 裁量労働制を巡る不適切なデータ問題で、働き方改革関連法案の先行きが不透明になっているが、非正規社員の待遇改善は待ったなしである。