大学生の就職活動日程が迷走している。

 経団連は、現在の大学3年生が対象となる2017年春入社の就職活動について、企業の面接解禁を来年6月1日とすることを決めた。昨年までは4月解禁で、今年は8月だった。

 繰り下げられたかと思えば、前倒しとなるなど猫の目のように変わる日程に振り回される学生が気の毒だ。

 そもそも面接開始が8月に繰り下げられたのは「学業に専念し、多様な経験ができる環境を整えたい」とする安倍政権の要請によるものだった。大学側も学業への配慮を求めていた。

 しかしふたを開けてみると、学生の57%が「就職活動が実質的に長期化し、負担が大きくなった」(内閣府調査)、企業の96%が学生に「悪影響があった」(経団連調査)と回答するなど、再検討を求める声が大勢を占めている。

 日程の繰り下げで勉強に専念できる時間が確保できたと思いきや、実際は3年生の夏休みのインターンシップ(就業体験)を選考活動の起点とする企業も多く、かえって活動が長期化し学業に影響を及ぼしたという。

 公務員との併願が多い県内の学生の間からは、公務員試験と民間の就活が重なったことへの負担の訴えや、同時期の卒論執筆に十分な時間が取れなかったなどの声が聞こえる。

 不評の8月解禁に代わり、来年から6月解禁となるが、本質的な問題は置き去りにされたままである。

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 就職活動が長期化したのは、日程の繰り下げだけによるものではない。

 すでに面接解禁前の7月時点で大学生の2人に1人が内定を得ているという民間の調査結果がある。中小や外資系企業から内定を得ている学生が多かったが、経団連加盟企業でも解禁日前に「面談」と称し内定を約束する例が相次ぐなど、就活の取り決めは形骸化している。

 今年の流行語候補でもある「オワハラ」は、他社の内定辞退を迫るなど就活を終わるよう強要するハラスメント行為である。企業の行きすぎた囲い込みが問題となった。

 一方、学生の側もライバルに出遅れまいと必死で、3年生からインターンシップに参加するなど就活は年々早期化の傾向にある。

 早期化、長期化で負担を強いる仕組みのどこに問題があるのか、きちんと検証してもらいたい。

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 就活のために授業を休んだり、新卒の肩書を得るために留年するなど、当たり前とされる就活ルールに少なからず疑問を持つ。

 日本型雇用慣行が揺らぐ中、誰もが就職できた時代に確立された「新卒一括採用」が、時代にふさわしい方法だとは思えない。卒業後にボランティアで見聞を広めた既卒者や、夢を持って再就職にチャレンジする若者に機会が与えられないことの方がむしろ社会の損失である。

 採用の仕組みを柔軟に見直していく根本的な改革が必要だ。